高級な和食はいらない。海外の若者が日本の大戸屋を支持する理由

 

以前掲載した「大戸屋はなぜ、海外で成功したのか? 米では高級路線で大反響」では、タイ・アメリカ・台湾・シンガポール・香港と、それぞれの国での大戸屋の違いや受け入られ方について紹介しました。今回の無料メルマガ『顧客を喜ばせる世界の成功企業最新戦略紹介』では著者で米国ビジネスモデルコンサルタントの清水ひろゆきさんが、今までアメリカで「高級な食べ物」とされていた日本食を程よく変化させ人気店となった「大戸屋」の戦略を解説。あわせて、数多いアメリカのラーメン店の中でも絶大な人気を誇る「らーめん山頭火」の経営戦術も考察しています。

らーめん山頭火と大戸屋は、なぜアメリカで成功したのか!?

日本食レストランは今ヘルシー志向が追い風となり、世界に11万店(2017年10月)あると言われています。そして今、日本発のウマミが6つ目の味覚として世界に認められ、この味を世界に発信すべく、アメリカに進出し成功している日本の外食チェーンが2社あります。

一つは、塩らーめんを売りにするらーめん山頭火(1988年創業)、もう一つは定食という形で日本の食文化を提供する大戸屋(1958年創業)です。

両社に共通するのは、日本の味をそのまま伝えるためのこだわりの店内調理ですが、アメリカで成功し、支持されている理由は、実は、出店立地と業態の戦略によるものなのです。

SC出店が決め手となる西海岸の立地戦略とは??

山頭火はアジアを中心に、アメリカ15店(ハワイを含む)、カナダ3店、アジア21店を展開。アメリカには2005年(日系飲食企業で相当初期のころ)に進出しショッピングセンターのフードコート立地で5店舗(サンタモニカ、ニュージャージー、シカゴ、LAトーランス、LAコスタメサ)展開しています。

今なお現地で支持され且つ利益を生み出せているのは、ロードサイドのSCや都市部の路面店で割高な10数ドル(1,200円以上)という価格でラーメンを提供するのではなく、来店を促せる日系スーパーが入るSCに出店(営業時間11時から20時半まで)し、セルフサービスのフードコートで9ドル台(1,000円弱)の出来立てラーメンを提供することで、お客と商品の回転率をアップさせ高い生産性を生み出しているからです。

アメリカでは選択肢の多さがよいサービスになる!!

らーめん山頭火では日本同様特選トロ肉(豚のほほ肉)が一番人気です(提供方法は日本と同じでトロ肉が別皿でサービスされ、トロ肉だけで味わえ2度旨い)。が、同社が今なお人気なのは、カスタムメードを好むアメリカのサービス(下記)を提供しているからです。

  • SML選べる:らーめんの量
  • ごはんを選べる:ねぎめし、イクラごはん、納豆ごはん、チャーシューごはん、ライスから1つ

上記以外にサイドメニューには(日本と大体同じ)シャケ丼、餃子、トロ丼、半熟卵、餃子があります。

らーめん山頭火がアメリカで常にらーめんランキング上位にリストアップされるのは、塩(同社の代表的メニュ「塩らーめん」は、アメリカでも小梅がトッピングされ日本をそのまま輸入)醤油、味噌、スパイシー味噌の4種類のスープのベースが豚骨白湯スープであり、塩と豚骨が醸し出すコクと旨味が他のラーメン店にはなく独特だからなのです。

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