年金支給を70歳超えまで繰り下げた人は、いくら得をするのか?

nenkin20180118
 

先日、政府が2020年までに年金支給開始年齢をさらに引き上げ、70歳超えに先送りできる仕組みをつくろうとしていることが報じられました。しかし、そもそもこの「年金の繰り下げ制度」を実際に利用している人は現在2%程度とのこと。今後、高齢者雇用の広がりとともに利用者も増えていくのでしょうか。無料メルマガ『年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座』の著者・hirokiさんが考察しています。

ついに年金の70歳超えの選択受給可能の方向へ

1月17日に、年金支給開始年齢を70歳超も可能にするというようなニュースがありました。2020年までには法案の国会提出を目指すようですね。前も何か75歳支給開始年齢になるとかなんとかっていう話がありましたが、実際の年金支給開始年齢が上がるという話ではありません。ここはいつになるかわかりませんが^^;。

今現在の年金支給開始年齢は65歳であり、しかもまだ65歳に向かって引き上げ中であります。今年60歳になる昭和33年生まれの女子でもまだ厚生年金支給開始年齢が60歳からの状態です。

65歳前から年金がもらえる人は、年金保険料納付済期間+免除期間+カラ期間≧10年以上を満たして、かつ、厚生年金期間または共済組合期間が1年以上ある人。厚生年金期間と共済組合期間合わせて1年以上でもいい。

カラ期間とは(参考記事)

しかし、昭和33年4月2日生まれから昭和35年4月1日生まれの女子なら61歳支給開始年齢。昭和41年4月2日以降生まれの女子から完全に65歳支給開始年齢となります(2030年に65歳に引き上げ完了)。男子は昭和36年4月2日以降生まれから完全に65歳支給開始年齢(2025年に65歳に引き上げ完了)。下記のリンクを見ていただければこんな感じで徐々に引き上がっています。

厚生年金支給開始年齢(日本年金機構)

最近騒がれている70歳支給開始年齢とかこの間あった75歳支給開始年齢説というのは、年金制度に昔からある「年金の繰り下げ」という制度の話を言ってます。なんだか、65歳から貰える人が70歳超えてもその繰り下げによる増額が出来る方向になってきました。

年金の繰り下げは自らの選択により65歳から受け取る老齢厚生年金や老齢基礎年金の支給を遅らせる事で1ヶ月ごとに0.7%ずつ年金が増えていきます。だから、65歳時点で厚生年金から老齢厚生年金が90万円で、国民年金から70万円の老齢基礎年金が支給される年金総額160万円の人であれば65歳から70歳までの最大5年間(60ヶ月)年金を貰うのを遅らせれば、0.7%×60ヶ月=42%増額するわけです。老齢厚生年金90万円なら、90万円+90万円×42%=90万円+378,000円=1,278,000円になります。老齢基礎年金なら70万円+70万円×42%=70万円+294,000円=994,000円になる。70歳からは老齢厚生年金1,278,000円+老齢基礎年金994,000円=2,272,000円月額189,333円)となります。65歳から160万円貰うよりも5年間で672,000円増えました

これを70歳超えてもなお繰り下げ可能にしようという事ですね。65歳から73歳まで出来るようになれば、8年間繰り下げると96ヶ月×0.7%=67.2%増額って事になりますね。何歳まで出来るようにするのかが気になる所であります。

ちなみによく誤解があるんですが、65歳前から請求してすでに貰ってる厚生年金や共済組合からの年金はこの繰り下げ増額の対象ではありません。記事の冒頭のような生年月日の65歳前から厚生年金貰える人は、年金を貰うのを遅らせるだけな~んのメリットも無いので(遅らせたからって増えたりしない!)さっさと請求して貰ってしまいましょう。

65歳前から年金がもらえてる生年月日の人は、65歳誕生月になると簡易なハガキタイプの年金請求書が送られてくるので再度年金請求します。この65歳時に請求するのが本来の老齢厚生年金や老齢基礎年金なんです。この65歳から再度の請求により新たに支給が始まる、本来の老齢厚生年金と老齢基礎年金を貰うのを請求せずに遅らせれば年金が増額するという話。

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