欧州やカナダも中国寄りに。なぜ米国は世界から嫌われ始めたのか

kitano20180123
 

先日発表された米世論調査で、「トランプ政権による米国の指導力を評価するか?」との質問に「評価する」と答えた人は30%で、イラク戦争の主導者として批判されたブッシュ(子)の34%をさらに下回る結果となりました。その理由について、無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者で国際政治に詳しい北野幸伯さんが、初心者にもわかりやすく解説しています。

全世界で失墜するアメリカの評判

トランプさんの時代になって、アメリカの評判が失墜しています。

米の指導力、国際社会で評価急落 米ギャラップ調査

朝日新聞DIGITAL 1/20(土)21:28配信

 

トランプ政権の米国が、国際社会での指導力を大きく落としていることが、米ギャラップ社が19日に発表した世論調査の結果で分かった。米国の指導力について「評価する」は30%で、オバマ前政権から20ポイント近くも下落した。

アメリカの指導力について、「評価する」は、30%だそうです。もう少し詳しく見てみましょう。

調査は昨年3~11月、134カ国・地域の15歳以上に約1千人ずつ質問した。米国の国際社会における指導力については、「評価する」が30%、「評価しない」は43%。「評価する」はオバマ政権時の2016年の48%から、18ポイントも下落した。調査を始めた07年以降、ブッシュ(子)政権の08年の34%を下回り、過去最低の記録となった。
(同上)

ブッシュ(子)は、「フセインは大量兵器を保有している!」「アルカイダを支援している!」と主張。「ウソの理由」でイラク戦争を始めました。国連安保理では、常任理事国フランス、ロシア、中国が反対した。それで、安保理を無視して開始した。全世界で反戦運動が盛り上がり、アメリカの評判は極めて悪かったのです。

しかし、トランプさんは、ブッシュ(子)の記録を破り、「過去最低」になりました。

134カ国・地域中、前年比で10ポイント以上評価が落ちた国は65カ国に及ぶ。特に「評価しない」が多かったのは、ノルウェー(83%)、オーストリア(79%)、カナダ(78%)など欧米諸国が目立った。同社は、トランプ氏が北大西洋条約機構(NATORI)を「時代遅れ」と呼んだり、イラン核合意や地球温暖化対策の枠組み「パリ協定」を否定したりしたことが影響したと分析した。
(同上)

「価値観」を共有しているはずの欧州やカナダで、アメリカの評判がガタ落ちしている。困ったことです。というのは、欧米は一体化して中ロの脅威に立ち向かわないといけないのでしょう? 実際、欧州は、アメリカと中国を天秤にかけ、しばしば中国側につくようになっています(例、欧州諸国は、アメリカの警告を無視して、中国主導AIIBへの参加を決めた)。

日本では、「評価する」が31%で前年比で16ポイント減った。「評価しない」は36%だった。
(同上)

日本でも、傾向は同じですね。トランプさんは、安倍さんと仲がよく、北朝鮮問題でもがんばってくれている。それでも、厳しい評価です。

米国とドイツ、中国、ロシアの4カ国で比較した指導力の評価は、ドイツ(41%)がトップで、米国は中国(31%)にも抜かれ、ロシア(27%)をわずかに上回る3位だった。
(同上)

指導力トップは、ドイツ、中国、アメリカ、ロシアの順だそうです。情けないことです。

print
いま読まれてます

  • 欧州やカナダも中国寄りに。なぜ米国は世界から嫌われ始めたのか
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け