ダボス会議から聞こえてきた「米中貿易戦争」開始の合図

 

米国の国防戦略策定

同時に、米国の国防戦略は、中国を米国の覇権に挑戦する最大の脅威とみなし、「対テロ」から中国とロシアとの長期的な「戦略的競争」に備える体制に転換するとした。経済的・軍事的に中国が最大の脅威としたのである。

中国は一帯一路の範囲を拡大して、北極圏を中国の範囲として、中南米にも一帯一路のルートを拡大して、米国に対して包囲戦略の方向である。中国の経済軍事力が米国を包囲することができるようになったことを表す。

とうとう米中の全面対決の状況が整えられたようである。

中国の反撃

現在、中国の経済面での世界的な影響力は、米国より数段大きいので日本とは違うことになる。世界の多くの国で米国への輸出より、中国への輸出が多くなっている。このような経済大国になった中国は米国企業の排除を行い米国債の売却などを行うと脅しを米国に掛けている

ムニューシン財務長官は、ドル安容認の発言をしたが、中国が米国債を売却したら、米国債の金利が上昇し、ドル安になることは確実である。ムニューシン財務長官のドル安容認発言は、中国の国債売却に対する発言である。

国債の金利上昇(暴落)を止める方法は、FRBが量的緩和政策として米国債を買うしかない。中国の米国債は膨大であり、それを買える購入先はないので、最後の砦であるFRBが買うしかないのだ。

FRBは、公定歩合の金利を上げていくが、国債売却での急な金利の上昇を止めることになる。しかし、金利上昇ではあるが、ドル通貨量が増えるので当然ドル安にはなる

それより、米国債の信用力がなくなり、ドル基軸通貨体制も崩壊する可能性がある。米国債の暴落が起こり、他国や企業も米国債を売る可能性がある。ドル安で高いインフレにもなるはず。それとは反対に、円やユーロが高くなる。ドルの独歩安であり、ドルの信頼がなくなる。中国の米国債売却はドル基軸通貨制度をつぶすことになる。

もう1つが、米企業の多くが中国関連で儲けているから、その企業の利益が大幅に減ることになる。アップルやGM、GE、キャタピラー、キヤリアなどの米企業の利益は減ることになる。一方、IT企業は中国に進出できていないので影響がない。米国経済はIT企業が強いので、それを維持することで経済や株価を維持できるとみている。

株価はIT企業以外では下落することになる。しかし、米中貿易戦争になると、2大経済大国の貿易が止まり、その影響は世界的に影響する。中国の米国への製品の部品を日本企業が補給しているので、それがなくなるなどで波及してくることになる。

世界貿易量は、一時的に大幅に減ることになる。景気も一時的に下がることになる。米国への工場進出などで一時的ではあるが、バブル経済である現在の世界は、震える可能性はある。

米国の指導者は、中国の経済力を過小評価しているように感じる。米国経済に大きな影響なく、スーパー301条を中国に適用できるとみているが危険な方向だと思う。

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