名ばかりの日本の「週休3日制」。実態は世界とこんなにかけ離れている

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日本でも週休3日の制度を取り入れる企業が出てきていますが、実はその多くは条件つき。すでに2022年のはじめからトライアルが行われているイギリスのものとは大きく異なるようです。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では、著者で健康社会学者の河合薫さんがイギリスの週休3日制について詳しく解説。そして、日本がやろうとしている週休3日制の問題点も語っています。

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週休3日導入なら日本は貧困増に?

今回は、イギリスBBCニュースの“The workers getting 100% pay for 80% of the hours”というタイトルの記事を取り上げます。

タイトルを直訳すれば「80%の労働時間で100%の賃金を得る労働者たち」。つまり、欧州で試験導入が相次いでいる「週休3日制」が、イギリスで本格的に導入されることになりそうなのです。

イギリスでは2022年初めから、「週4日労働キャンペーン」が行われていて、大規模なトライアルが実施されています。で、その最大規模のトライアルが6月からスタート。件の記事によれば、オックスフォード大学、ケンブリッジ大学、米国ボストンカレッジの専門家が、シンクタンク「オートノミー」と共同で実験を運営するとのこと。

約70の企業が参加し、6ヶ月間従業員は週休3日制で勤務。労働日数は1日減って4日間になるのに賃金は以前のまま。いわば、休みを1日増やすための企業の「知恵」試しです。

参加する企業の一つ、某ビール工場では、これまでどおり9人のチームで、今までと同じ量のビールを、5日ではなく4日で製造し、パッケージングしなければなりません。

しかし、会社側は、「生産性を上げるというのは、今やっている仕事をより速くこなすということではなく、自然な休止時間を利用して、次の日の準備をより良くするということかもしれません」とコメントしています。

すでにイギリスでは「週4日労働、週休3日制」を取り入れている企業もあり、それらの企業からは、従業員のストレスレベルが低下した、働き手の確保や維持も容易になった、平均で年平均1万8,000ポンド(約276万円)の節約が実現した、など、ポジティブな結果が報告されています。

イギリスは欧州の中で最も労働時間が長く、OECD38カ国中もっとも週労働時間が短いオランダの週29.5時間を7時間ほど上回る36.3時間です。
2位はオランダ、次いで、デンマーク、ノルウェー、スイス 、オーストリア 、ベルギー 、イタリア 、アイルランド 、スウェーデン、フィンランドで、イギリスは38カ国中10位となっています。

ちなみに、アメリカは38.7時間、もっとも長かったのコロンビアは47.6時間です。残念ながら日本のデータはありませんでしたが、残業ゼロでも40時間と考えると・・・、コロンビアレベルくらいは働いていることが予想されます。

また、少々古いデータになりますが、平日一日あたりの労働時間(フルタイム勤務の男性)は1976年「8.01時間」、1991年 「8.70時間」、2001年「8.79時間」、2011年「9.21時間」と増加しています。

これは週休2日になったことで、労働時間が平日にシフトしたことを伺わせる結果です。働き方改革で若干減っている可能性もありますが、欧州だけでなく長時間労働の米国でも、労働時間が確実に減っているので、日本が長時間労働国であることに変わりありません。

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