名ばかりの日本の「週休3日制」。実態は世界とこんなにかけ離れている

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一方で、日本でもパナソニック、日立製作所、NECなどの大企業で、「世界に追いつけ!」とばかりに週休3日制の取り組みが始まっていますが、「月の労働時間を確保すれば~」とか、「育児や介護がある人は~」とか、「本人の希望があれば~」とか「給料は減るけどね~」とかの条件付き。“The workers getting 100% pay for 80% of the hours”は、かなり違います。

そもそも週休2日がそうであるように、すべての社員が週休3日だからこそ、「さっさと終わらして、みんなで休もうぜ!」と気持ちになる。生産性を高めるには個人ではなくチームで取り組む必要があります。

さらに、日本のように残業込みの給与設定では、「給料減るくらいなら働いた方がいい」と考える人も多いし、非正規雇用の人たちは最初から対象外になる可能性もあります。

なにせ、コロナ禍のリモート勤務も「非正規」という理由で許可しなかった会社は少なくなかった。仮に、週休3日が適用されても、休みになった日をアルバイトやパートに充てる人もいるでしょうしね。休めば休むだけ、稼げる金が減るわけですから。

繰り返し書いてますが、日本では非正規は正社員より賃金が安くて当たり前ですが、世界では逆です。

欧州では有期雇用自体を禁止している国も多いし、有期雇用は企業にインセンティブを与えるという点で、割り増し賃金を払うのが「当たり前」なのです。

念の為断っておきますが、私は週休3日制の導入は大賛成です。超高齢社会に突入している日本では、“The workers getting 100% pay for 80% of the hours”の実現は理にかなった政策です。

しかし、非正規問題、シングルマザーの貧困問題、官製ワーキングプア問題など、今、すぐにでも解決すべき足元の問題にまずは大胆なメスを入れてほしい。

“土台”を根本的に見直す改革を進め、長期的な展望のもと真の働き方改革を実行しない限り、国の未来はない、そう思えてなりません。

みなさまのご意見も、ぜひお聞かせください。

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