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週明け世界同時株安、悪夢の2/2米国株「666ドル暴落」の余波

前週末2日のNYダウ平均600ドル以上の急落を受け、週明け5日に2万3千円を割り込んだ日経平均株価。中国経済も縮小傾向という中、今後、世界の景気動向はどのような推移を辿るのでしょうか。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では著者の津田慶治さんが、様々な要因を読み解きながらその行方を予測するとともに、もはや手詰まりとなった感の否めない日本経済を救う「唯一の方法」を記しています。

米株価暴落と日本の今後

2月2日NY株ダウは、666ドルの大きな下落暴落である。この原因を考え、今後の検討もしたい。

原因

このコラムでは、米株バブルは異常であり、株屋が踏み上げを行っている、いつか暴落させて、空売りを仕掛けると言ってきた。この暴落日をイエレン議長の退任日にしたとは、株屋も考えたものである。新パウエルFRB議長の手腕も見ることができる。

また、ヨハネ黙示録に出てくる666ドル下げと獣の数字が出てきた。この数字をどう解くのかだ。

トランプ大統領は、今以上に株価を上げるために、法人税減税とインフラ投資を行うとした。それと中韓の冷蔵庫と太陽光パネルにセーフガードの関税を掛けた。そして、ダボス会議で適正な貿易を行うことを進めると言い、中国にスーパー301条を適用する考えを述べた。

しかし、中国は米国債売却をほのめかし、もう1つが米国の赤字が増えて国債の発行量が増えることが予想でき、米国債の金利が2.7%に上昇した。この意味は国債価格の下落である。

この上に米国雇用統計で3%近い賃金の上昇が確認できインフレが認識されたことでFRBも近々金利を上げることになると意識された。金利上昇は企業の資金コストを上げることになり、銀行以外の企業には収益下押しになる。

このため、ゼロに近い金利の金融相場の終焉で、実績相場に移行する必要があるが、現時点は、株価期待値が高すぎるとなり暴落したようである。

最適な株価はいくらなのか、今はPER26倍であり、PER16倍程度が、普通の水準であり、この方向に下がることになる。2/3程度になることである。とすると2万ドル当りになる。今後、実績相場に向かうことが必要であるので、米国景気の持続が問題になる。

しかし、米国の景気が持続させるためには、中国経済を見る必要がある。

中国経済の動向

中国経済の拡大が今までの世界経済拡大を後押ししてきた。このため、中国経済拡大が持続すれば世界の経済も拡大するが、その中国経済の拡大の原動力は、投資拡大であり、一帯一路や国内の高速鉄道や高速道路、大都市の地下鉄の建設である。

しかし、それも一段落してきた。このため、中国政府は、開発先を北極圏として投資するようであるが、世界からの反発も予想でき限界が見えてきた。

ということで、中国の経済も投資経済から消費経済にすることが必要になっている。このためには貧富の格差解消が重要になるが、それへの転換には時間がかかる。ということで、米国と中国の両方の経済システムの転換が必要になり、その時間が必要になっている。

中国のもう1つの柱が輸出であるが、この輸出でも米国がスーパー301条を持ち出されて、輸出ができにくい環境になるようだ。

というように、中国経済の動向にも注意が必要である。

もし、米中貿易戦争になれば、米国企業の利益も減り、中国輸出企業の利益も減るので、世界経済は一時縮小になり最悪になる。

日本経済はどうなるか?

というように、世界の景気後退が迫ってきたようである。今が最高点にあるような気がする。世界の一体化が進んでいるので日本も大きな影響を受ける

日本の株式市場でも値嵩株のPERは20倍から30倍にもなっている。このため、利益の増加率が減っただけで、株価が下落している。米中市場が暴落すると、海外投資家が日本株も売り、日本の株価も下落するが、それより日銀の金融政策が大きな問題になる。

バーゼル3の合意ができ、2019年から完全適用になったが、ここで述べてきた国債リスク回避の条項は最終案では削除されている。

しかし、大手銀行の経営は厳しくなる。リスクへの見方が大きく見直されて、安全資産の上積みが必要になっている。三菱UFJ銀行は、マイナス金利の日銀当座より金利0.1%国債の方が得と国債の買取を再開した。国債リスク回避条項がなくなり、今と同じように、日本国債はリスクゼロになるからである。しかし、海外の銀行は日本国債を持つとリスク負担20%であり持てない

日本国債格付けはAであるが、財政均衡から財政赤字拡大になり、かつ貿易収支が赤字になると格付けが下がり、Bになる可能性がある。

国債格付けがBになると、海外の年金基金は日本国債を持てなくなる。このような国債を今でも同じであるが、普通の海外投資家は買わない。特に日銀が国債の買取をしてからは、空売りもできないので、投機筋も手を出さない

というように、日本国債を持てるのは、日銀と日本企業と個人だけである。海外の投資家が買うのは、ドルを日本の銀行に高いプレミアムを取り交換して、もらった円で0.1%国債を買い、円高時に日銀に低い金利で売っても儲けが出るからである。ドルにプレミアムがついていることでそうなる。

日本の金融機関が海外、特に米国に乗り出すのは、ドルプレミアムも影響している。

日本の金融機関は、マイナス金利で大変なことの上にバーゼル3の高いリスク負担で儲けがなくなる方向である。このため、3万人の人員をリストラするとした。金融機関の生き残りが難しい状況である。

このように金融機関が動けなくすると、次の恐慌時、日本は世界より資金流動性を失いかねないことになる。世界が恐慌になったときに、より深い恐慌になってしまうことになる。

このように、日本の金融機関を痛めつける日銀のマイナス金利政策は限界に来ている。しかし、何かの処置と代わりにマイナス金利を止めることだ。そうしないと、金融緩和縮小と見られて円高になり、外需で日本企業は維持できているので日本経済を直撃する。

日銀手持ちの国債の永久国債化

マイナス金利を止めることにより円高とは反対に、円安になることを持ち出して、相殺させるしかない。将来の国債費の膨張を止めるためには、日銀の手持ち国債の償還を中止することである。金利ゼロの永久国債化することだ。この日銀の国債永久化はインパクトが大きい可能性もある。

その時には、国債買取量を下げることである。金融緩和縮小として、円高にすることで釣り合いを取ることである。

景気後退になると税収が減り財政健全化が滞り、財政赤字が拡大することになる。国債の増発は金利上昇になる。このため国債費の膨張が起きる。それを止めることに必死になるしかない

もちろん、このようなことをすれば円安になり、景気後退局面でのインフレとなり、スタグフレーションにはなる。このため、金融緩和縮小の円高要因と相殺することだ。景気後退が明らかになる前に行えば、スタグフレーションにならない可能性もある。

国債費の膨張で、税収より国債費が多いという破綻国家の予算になることを防ぐことが、国家運営上、絶対に必要なことである。少しの円安は、しょうがないと思う。1ドル=200円程度にはなるかもしれないが、しかし、国家破綻するより良い。

首相交代で前提条件を変える

長期5年に渡る金融緩和、特に量的緩和と移民政策がなかったことにより、日本の劣化は著しいことになっている。安倍首相が後3年も金融緩和を継続し移民政策を行わないとするなら日本の破綻を考えることだ。

5年前の早い段階なら、産業政策と規制緩和と軽い移民政策を行えば、日本は復活できたが、5年も金融緩和政策しか行わないことで、ここまで来てしまった。

もう、待てないような気がする。事実、世界の有識者も日本に警告し始めている。

米国ノーベル賞経済学者のグルーグマン氏も安倍首相が「最近のデフレは、消費税増税が原因ですか?」との質問に対して、「日本のデフレは、人口減少のため」であると明言したという。

世界的な投資家のジム・ロジャーズ氏も「もしも私が10歳の日本人だったらAK-47(カラシニコフ製自動小銃)を買うか、日本から去るだろう。10歳の日本人の人生を通して日本は大惨事になるだろうからだ」と言っている。

「日本は周知のごとく債務を積み上げてきた。人口は減少しているのに債務は天井破りだ。安倍首相は『やれることは何でもやる』と言って、必要なお金を刷って、要るだけお金を使っている。これは続かない。私はこれが日本で起こるとは考えたこともなかったが、日本は確実に破綻するよ」と言っている。

このように、今まで日本にアドバイスしてきた世界の有識者たちが、やっと、このコラムと同じ見方をして、日本の破綻を言い始めている。

そろそろ、リフレ派で移民反対の安倍首相を辞めさせることでしか日本を救えないことになってきた

さあ、どうなりますか?

image by: a katz / Shutterstock.com

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国際的、国内的な動向をリアリスト(現実主義)の観点から、予測したり、評論したりする。読者の疑問点にもお答えする。

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【著者】 津田慶治 【月額】 初月無料!月額660円(税込) 【発行周期】 毎月 第1〜4月曜日 発行予定

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