14日になると、4枚のローターブレードを固定しているローターヘッドが修理歴のある中古品だったと判明します。以下は佐賀新聞(15日)へのコメントです。
軍事アナリストで静岡県立大特任教授の小川和久氏は『中古部品だから悪いとは限らない。金属疲労などをきちんとチェックできていればいい。米国では軍が払い下げた20年もののヘリや部品を消防や警察が使っている』と話す。事故機は地上でローターを回し、ホバリング状態でチェックした後、駐屯地外に飛び立っており『整備ミスなら、ホバリングの時点で異常が出るはず。部品自体か、部品の検査段階に問題があったのでは』と推測する。
この佐賀新聞のコメントに、防衛費にとどまらない日本の税金の使い方についての私の考え方が出ています。
日本人はなんでも新品をほしがりますが、その割に装備品などの性能をとことん発揮させるような使い方をしないで、ぴかぴかの状態で売却したりする傾向が顕著です。
その点、納税者意識が高い米国の場合、消防、警察が軍の払い下げヘリを20年以上も使うことは普通です。
私が阪神・淡路大震災直後に調査したロサンゼルス市消防局の場合、最初に導入したガスタービンエンジンの中型ヘリUH-1Bは、米国陸軍がベトナムの戦場で使ったぼろぼろの機体2機を各500ドル(約5万円)で払い下げを受け、それを製造元のベル社で「共食い」あるいは「ニコイチ(2機を1機に組み立てる)」と呼ばれる手法で1機の機体に組み立て直し、5万ドル(約500万円)かけて飛べる状態にしたものでした。このヘリは、そのあと20年も空中消火などに活躍したのですから、航空機の寿命というものがわかろうというものです。
そんなわけで、中古品大いに結構。その分の予算で機材の数や人員増を図り、維持コストを捻出するというのが、「やり繰りのできている家計」のような健全な国家財政というものではないでしょうか。
家計に置きかえて眺めると、日本の納税者は、実は私もですが、甘い、無責任、丸投げ…と、一億総懺悔を求められそうな状態にあります。(小川和久)
image by: WikimediaCommons(Toshi Aoki)