森友問題の公文書改ざんで疑問視される安倍政権の「倫理観」

shima20180315
 

以前掲載の「前代未聞「森友文書改ざん」問題、新聞各紙がどう報じたか徹底比較」でも詳しくご紹介した、森友学園を巡る決裁書の改ざん問題。これについて無料メルマガ『ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」』の著者・嶌さんは、「真相を国民の前ではっきりさせない限りは日本の行政は信用を失う」とし、安倍政権継続に対して厳しい見方を示しています。

国を滅ぼす吏道の衰退 ──終末期迎えてきた安倍政権──

財務省官僚の手によって公文書が書き換えられたり一部が白紙になっていた。財務省官僚といっても、一役人ではなく明らかに財務省幹部ら全体の意思として行なわれたと見るのが妥当だろう。役所全体で都合の悪い部分を書き換えたり、文書の一部を抜き取って国会や会計検査院に提出していたとすれば、前代未聞の悪質な行為といって差し支えあるまい。書き換えられたり、抜き取られた文章と箇所は14文書、300ヵ所以上というから驚きというよりも、まずその悪質さに“財務官僚はそこまで落ちたか”と唖然とする。

財務省といえば、官庁のトップに君臨する役所であり、国の中心的存在だったが、今回の事態は一挙に信頼が地に落ちたといわざるを得ない。しかも、この文書の存在や書き換えについては国会で何度も追及されてきたのに「知らない」とウソで言い逃れてきた元局長らの答弁には、財務省OBも驚いていよう。私も50年近く財務省はじめ各役所に取材してきたから信じられない思いだ。

誰が何のためにやり、それを指示したのは誰で、その理由は何だったのか」を国民の前にはっきりさせないと、今後、日本の行政は信じられなくなる懸念すらある。それほど今回の財務省の行為は問題で、司法当局も全貌を明らかにするよう努力しないと日本の官僚制度そのものに国民が信を置かなくなるだろう。

ここまで問題を大きくした背景には、森友学園問題を巡り安倍昭恵夫人が関係し安倍首相にまで波及するかもしれないという思いがあったに違いない。そのことを“忖度”し役所が“知らぬ存ぜぬ”を言い続けてきたのだろう。しかし、一国の行政に関わることを、たとえ総理夫妻に関係するとしても、3月11日まで国会やメディアに実状を言わなかったとしたら、まさに“吏道”“官僚の誇り”を失ったも同然といえよう。

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