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金正恩氏が電撃訪中、モリカケしてる間に日本は半島情勢で劣勢に

世界中を驚かせた、金正恩氏の中国電撃訪問。なぜこのタイミングで正恩氏は訪中したのでしょうか。台湾出身の評論家・黄文雄さんは自身のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で、中朝の思惑が一致したことをその理由として挙げるとともに、5月に予定されている米朝首脳会談については、日本が蚊帳の外に置かれることがないようアメリカとの連携を強めるべきだとしています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2018年3月27日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め3月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【中朝】なぜ北朝鮮はこのタイミングで訪中したのか

<中朝首脳>訪中の要人は金正恩氏 習近平主席と会談

3月27日、北朝鮮の金正恩委員長が中国を電撃訪問しました。北朝鮮からの特別列車が北京に到着し、黒塗りの車が車列をなして釣魚台を訪れました。北京では最高レベルの警備体制が敷かれました。

中国のSNSである微博(ウェイボ)では、金正恩のあだ名である「金三胖」(金三代目のふとっちょ)が検索不可となっています。

金正恩訪中成禁搜字 微博封鎖相關字

この時期に北朝鮮のトップが中国を訪れたのには、意味があります。トランプ政権が対中対北朝鮮の強硬派を次々と採用しているからです。トランプ大統領は3月13日、対北朝鮮に融和的なティラーソン国務長官を更迭し、CIA長官のポンペオ氏をその後任にあてました。前CIA長官ですから、中国や北朝鮮の情報には通じていることは言うまでもありません。

また、国家安全保障担当の大統領補佐官を、マクマスター氏から対北強硬派のボルトン氏へと交代させました。ボルトン氏は先制攻撃を主張する、やはり対北強硬派です。

5月に米朝首脳会談を開催することで、アメリカも北朝鮮も一応は合意していますが、はたしてどうなるかわかりません。米朝会談が破綻すれば、アメリカは北朝鮮攻撃に踏み切る可能性もあります。

そんななか、北朝鮮は生き残り戦略として、核やICBMの実験、平昌オリンピックの南北統一チーム、そして南北対話、米朝対話の合意に続き、電撃訪中を果たしました。

北朝鮮としては、米朝首脳会談が破綻したときに備えて保険をかけた意味合いもあると思いますが、それに加えて、現在、北朝鮮にとって中国を巻き込むには絶好のタイミングにあることも大きいでしょう。

アメリカは中国との対決姿勢を強めています。中国を標的に、鉄鋼やアルミ輸入に高関税をかけ、知財侵害についても制裁姿勢を見せています。また、アメリカは台湾との関係も強化し、政府高官の相互訪問を可能にする「台湾旅行法」が成立しました。

中国外務省、米の「台湾旅行法」に断固たる反対を表明

これらはすべて、アメリカの中国包囲網であることは間違いありません。さらに、米朝首脳会談が成立して両国が歩み寄ることがあれば、中国はメンツ丸つぶれです。台湾問題も北朝鮮問題も、すべてアメリカに主導権を握られることになるからです。

中国としては、これを放置することはできません。そのため、中国としてはこのところ関係がよくなかった北朝鮮との関係を修復せざるを得なかったということなのです。一方、北朝鮮からすれば、中国に自分を高く売りつける絶好のチャンスです。また、アメリカも対北強硬派を政権内部で重用している動きがあることから、北朝鮮としても、中国の後ろ盾がほしいところでもあります。

以上のような利害関係の一致から、中国と北朝鮮が歩み寄ったと見るべきでしょう。ただし、本当に歩み寄れるかどうかは微妙です。北朝鮮は金日成の時代から、政権内の中国閥を粛清してきました。金日成は延安派を粛清し、金正恩は中国派で叔父の張成沢を処刑しました。

また、金正恩は、中国に庇護されていた金正男を暗殺した疑いを持たれています。中国としては、言うことを聞かない金正恩を排したいと思っていることは間違いないでしょう。ただし、米中関係が緊迫するなか、中国としても金正恩を取り込んでおきたいと考えたわけです。

半島統一は朝鮮戦争以来の懸案であり、目下、北朝鮮がイニシアチブを握っているようにも見えます。北朝鮮の切り札は、中国ロシアの両方を利用できるという点です。中国がもし頼りにならなければ、ロシアに乗り換えればいい。さらには、アメリカに擦り寄れば、中国は半島情勢から蚊帳の外に置かれることになります。今回の電撃訪中でも、そのような抜け目ない外交駆け引きが行われていることでしょう。

日本のメディアでは評判の悪いトランプ政権ですが、習近平もプーチンも独裁体制を強めている国際情勢において、日本にとって何が望ましいのかを見極める必要があります。

ロシアについては、イギリスに亡命した元ロシアスパイの殺害を企てたとして、20カ国以上の国で、ロシア外交官の追放が決定されました。これにより追放されるロシア外交官は100人以上にのぼると見られています。また、中国で習近平の独裁体制が進んでいることは周知の事実です。

このような状況下で、アメリカが自国第一主義に走るのは、ある意味で当然でしょうし、また、日本がいつまでもモリカケ問題で騒ぎ続けているというのも異常なことです。

日本は北朝鮮とアメリカの首脳会談で、拉致問題の解決を迫ってもらいたいと考えていますが、トランプがどこまで代言してくれるかわかりません。アメリカにとっては、あくまで北朝鮮の核が主題です。

しかも、北朝鮮の核はアメリカよりもむしろ中国にとって脅威であり、アメリカに届く核ミサイルが完成するということは、つまり、中国全土が射程内に入るということでもあるのです。

私は、アメリカにとっては、米中経済戦争のさなか、むしろ本当の脅威は中国の独裁強化であると見ているのではないかと思っています。

米朝首脳会談については、日本は中国同様に蚊帳の外に置かれないよう、アメリカとの連携を強めるべきです。国内では依然として安倍おろしが加熱していますが、そのような不毛なことに時間をかけている暇はないのです。

image by: CCTV - Home | Facebook

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2018年3月27日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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