大赤字からの逆転劇。栃木を蘇らせた奇跡の「道の駅」

 

道の駅の常識を超える~地域創生の切り札「地域商社」とは?

「ろまんちっく村」を運営するファーマーズ・フォレストのトラックが回るのは栃木県内の契約農家。野菜や果物をピックアップしていく。そして向かったのは東京のスーパー、世田谷区の「サミット」成城店だ。ファーマーズ・フォレストは首都圏を中心におよそ200店に野菜を届け、いずれも産直コーナーに置いてもらっている。

生産者の名前付きで販売。栃木産のファンになってもらうというのが狙いだ。農協に出荷するより手取りが増えたと、農家も喜んでいる。そんな「流通業」まで手掛けるファーマーズ・フォレストは最近、「地域商社」とも呼ばれるようになっている。

地域の外に向けて発信する「地域商社」の存在は、地方創生のカギを握ると、専門家は指摘する。

「松本社長もおっしゃっていますが、自分たちの会社だけが豊かになるのではなく、利益を地域に還元して地域全体がどう豊かになっていくのかを考え、取り組むところが多い。先駆けのプロジェクトのひとつかと思います」(日本政策投資銀行・中村郁博氏)

ファーマーズ・フォレストの「地域商社」としての取り組み。「トチギフト」という通販カタログでは、「ろまんちっく村」で扱っている農産物や加工品、260種を掲載。同名の通販サイトも開設し、「ろまんちっく村に来られない人たちにも栃木の魅力を発信している。さらに松本は週に1度、ラジオのDJも務め、農産物をPRしている。

「お店(直売所)もメディアだし、雑誌もメディア、ラジオでも地域を紹介している。まさに地域を伝える総合メディアになろうというのが当社の考えです」(松本)

東京・墨田区にある東京スカイツリーのおひざ元、ソラマチにある栃木県のアンテナショップとちまるショップ」の運営もファーマーズ・フォレストが行っている。

最新作はシャーベット「スカイベリーソルベ」(654円)。使っているのは栃木が誇るいちご、スカイベリーだ。松本が宇都宮にあるジェラート店に声をかけ、共同開発した。

ファーマーズ・フォレストの地域商社としての取り組みはどんどん広がっている。

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