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【書評】あえて問う。団塊世代は日本を滅ぼす厄介者の集団なのか

第二次世界大戦直後の第一次ベビームームに生を受けたいわゆる「団塊の世代」。そんな彼らの足元に今、“断崖絶壁”が広がっている!? 今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』の編集長・柴田忠男さんが取り上げているのは、団塊世代の著者による「団塊世代のマニフェストと」して書かれた一冊。彼らよりも少しだけ年上の柴田さんは本書の内容をどのように受け取ったのでしょうか。

 『団塊絶壁
大江舜・著 新潮社

大江舜『団塊絶壁』を読んだ。著者は団塊の世代。ある日とつぜん、この四文字が啓示の如く浮かんだ。この四文字がひどく気に入ってしまい、なんとかこれに肉付けして読み物にしたいと考えた。そして、「われら団塊世代、どのように死すべきか」というテーマで取材をすすめたという。

ところが現実の直視を続けるに従い、これは“死の凝視”であるという実感に至る。暗いリアルを突きつけるだけでいいのか。そこで視点を変え、余りの限られた時間をどう過ごすべきかを“哲学する”ことにした、のだという。団塊世代のマニフェストとして書かれた、「週刊新潮」連載をまとめたものだ。

頭を使った人ほどボケやすいとか。サッチャーやシラクなどがその例だ。わたしは心配しなくていいのだ。認知症になったらいやだと思うが、いまから対策は立てられる。アルツハイマー型認知症になったからといって、急速にすべてを忘れるわけではない。認知症の前段階は8年ほどの時期がある。軽度から中度まで3年ある。だから軽度認知障害(MCI)の頃に現実を受け入れて準備する。

できなくなることはあるが悲観しなくていい。これを機に呑気にやればいい。「団塊の世代」の名付け親・堺屋太一が心配するのは「団塊の世代」がいなくなるまでの日本だ。「これから10年のうちに地獄の風を吹かせて大改革が必要です」と語る。2025年、800万人の団塊の世代は75歳以上の後期高齢者になり、1/5は認知症である。介護費用や医療費で国家倒産の危機が確実に来る。

高額医療費制度では、医療費の自己負担分が一定額を超えると、それ以上は国家が税金から払ってくれる。これから団塊世代がそれを使い倒す。そのツケは次世代に回り、国家の滅亡である。もう国家は高齢者全員の面倒を見る必要はない。年齢制限を設けて、高額療養費制度を使わずにすべて自費にすればいい。「人間は生きる権利もあるけれど死ぬ義務もある」と曽野綾子。同意、拍手。

健康保険と高額医療費制度のおかげで、アメリカでやれば1,000万円以上請求される治療も楽々受けられる。とにかく最新の医療は未来SFのような凄いことになっている。しかし、ものすごく高価だ。それでも、日本には高額療養費制度がある。医療栄えて国滅ぶ。なかなか死なずに、子や孫の世代を食い潰す。

天寿天命が限られている高齢者に対して、延命治療にどれだけの意味があるのか。医学界、そして宗教界は、安楽死・尊厳死を積極的に考えよ。ベッドに横たわっているだけの老人(金食い虫に他ならぬ)がこれから無限に増えていく。サウイフモノニワタシハナリタイとは絶対に思わない。サウイフモノは罪悪だ。

「死ぬまでセックス」と張り切った小金持ちの団塊バイアグラ老人が、海外で感染したエイズを風俗や援交で若者にうつしているディストピア日本。エイズの治療薬は高価だが、健康保険の適用で国家に大きな負担をかけている。遊び回ったツケを後の世代に。団塊は罪深い(人もいる)。少し年上のわたしも好景気で散々いい思いしたのに、責任はなんでも団塊に押し付ける

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

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