●「あなたが正しいかどうか、私が決めます」とわざわざ言うな
次のコメントは、ご自身が「参考にします」と発言したときのことを思い出しながら書いてくれました。
多分、それを言った時は、自分の考えを結局変えていませんでした。自分の知りたい事とちょっと違うな、なんて思って相手のお話もきちんと理解しようとしていなかった気がします。もったいない上に、相手にも失礼な感じを与えてしまう。そして、なんとなく、他の人にもまた聞いてみます、という意味も含まれていそうな言葉です。
相手からの情報をシャットアウトするような。たくさんの中の1つだというような。
「自分の知りたいこととちょっと違う」と感じた瞬間に、聞く耳を閉ざしやすいですね。かといって、真っ向からぶつかるのも面倒なので、「ありがとうございます。参考にさせていただきます」と、無難な言い回しとして使ってしまう。「そのアドバイスは要りません」と言っているようなものだから、失礼です。
次は3つ続けて抜粋します。ほぼ同じコメントになっていますね。
アドバイスをくれた人の考えよりも自分の考えが優位で、アドバイスを受け入れるか受け入れないかはあくまで自分が決める、という姿勢に捉えられるから。
そのとおりですね。「参考にさせていただく」と敬語表現を使っているくせに、意識では相手を持ち上げていない。
参考とは、一つの意見として聞くということなので、アドバイスをしてくれた方にいう言葉ではないからです。それが上司や先輩では、なおさら言えない言葉だと思います。
結果的に自分で選ぶわけだから、アドバイスどおりにしない状況もあり得るわけですが、受け取るときに「アドバイスをありがとうございます。まあ、従うかどうかはまだわかりませんけれどね」と告げる必要はないし、受け取る姿勢として不適切でしょう。
あくまで自分の感覚がベースにあり、場合によってはアドバイスを取り入れてもいいというような、相手を自分より下に見ていると取られかねない印象があります。
「相手を下に見ている」という伝わり方をするリスクは、非常に大きい。この表現のキモともいえます。
本人にどんな意図があろうと、「あなたのアドバイスが妥当かどうかは、私が判断します」「あなたが正しいかどうか、私が決めます」という宣言として伝わる可能性があります。
以上、見てきたように、「参考にさせていただきます」という表現は慎重に使いましょう。
受け取る側として適切な、あるいは安全な言い回しには、どんなものがあるでしょうか。
「助かりました」
「勉強になります」
「さっそく今から始めます」
「また行き詰まったときには相談させてください」
ほかにもどんな答え方があるか、考えてみてください。
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