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1日16時間労働で休憩1時間のみ。これって労基法違反にならない?

労働基準法・労働安全衛生法に準拠した就業規則を整備し正しく運用するのは、コンプライアンス上も必須要件です。それだけでなく、従業員の安全・健康面や、効率性・生産性にも配慮しなければなりません。今回の無料メルマガ『採用から退社まで! 正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』では「休憩時間」を取りあげ、制度設計のありかた・考え方を紹介しています。

御社の就業規則には、休憩の定めがありますか?

労働基準法34条に、休憩時間についての定めがあります。それによると、1日の労働時間が6時間を超える場合には、最低でも45分の休憩を与えなければなりません。1日の労働時間が8時間を超える場合には、最低でも1時間の休憩を与えなければなりません。

ということは、労働時間が6時間以内の従業員に対しては、休憩を与えなくても構いません。ただし、休憩を与えないことによって、従業員が体調を崩したり事故が発生した場合会社の責任が問われます。

法的には休憩を与えなくても良いからと言って、安全配慮義務が免除されるわけではありません。会社は、従業員が身体上も精神上も安全健康)に働けるようにしなければなりません。

また、休憩を与えないことで仕事の効率が悪くなることは十分に考えられます。適度な休憩が従業員の作業効率を高めより生産性の高い職場を作ることにもつながります。

ですから、休憩時間は、「仕事の途中」で与えなければ意味がありません。法的にも、業務時間の始めや終わりに与えるのはダメとなっています。

基本的には、休憩は一斉に与えなければなりません(適用除外業務もあります)。「一斉」というのは、「みんな一緒に」ということです。ただし、労使協定を結ぶことで交替で休憩を与えることもできます

交替制勤務等の場合は、各勤務形態ごとに、始業・終業時刻と休憩時間を定めて、就業規則に記載しておく必要があります。

また、業務上必要なときには休憩時間を変更できる旨記載しておくことも必要です。

所定労働時間が8時間以下である場合、休憩時間は45分でOKですが、もし残業等で、労働時間が8時間を超えた場合別途15分間の休憩を与えなければなりません(合計で1時間の休憩を与えなければなりません)。

また8時間を超えてその後何時間働いても休憩時間は1時間与えれば良い事になっています(たとえ16時間働いたとしても、休憩時間は1時間でOKであって、2時間与える必要はありません)。ただし、この場合も、安全配慮義務は免除されませんので、従業員の安全健康十分気遣ってください

労基法は労働条件の最低基準を定めているだけです。労基法を守るだけでなく、従業員への安全配慮・健康配慮や仕事の効率、仕事へのやる気や士気を高めるために、どのように休憩を与えていくか、一度考えてみては如何でしょう?

以上を踏まえて、あらためてお聞きします。

「御社の就業規則には、休憩の定めがありますか?」

image by: Shutterstock.com

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就業規則とは、入社から退社までの「ルールブック」であり、労使トラブルを未然に防ぐ「ワクチン」であり、効率的な事業運営や人材活用を行うための「マニュアル」でもあり、会社と従業員を固く結びつける「運命の赤い糸」でもあります。就業規則の条文一つ一つが、会社を大きく発展させることに寄与し、更には、働く人たちの幸せにも直結します。ぜひ、この場を通じて御社の就業規則をチェックしていただき、問題が生じそうな箇所は見直していただきたいと思います。現役社会保険労務士である私が、そのお手伝いをいたします。

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【著者】 飯田 弘和 【発行周期】 週刊

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