次のライバルはコンビニ。マツキヨを倒した「ウエルシア」の野望

 

薬剤師を大量採用~地域のために何でもやる

ちょうどその頃、国は病院=診療、薬=薬局という「医薬分業」を政策として推し進める。そのため病院の前にはいわゆる「門前薬局」が次々と開設されていった。だがウエルシアはあえて病院の前には出店せず郊外の住宅地に調剤併設型の店を増やしていった

「高齢化してきた時に、近くの薬剤師に相談したいというのが人情ですよ。家の近くでもらえるからいい、いつもいる薬剤師だからいい、安心だと言われます」(池野)

家の近くで薬が受け取れる便利さが喜ばれ、徐々にお客が増えていった。

客を待っているだけではない。薬剤師の名地盛也が店を出て向かった先は老人ホーム。来店が難しい人のために薬を直接届けている

その薬の包装には赤や青の線が引いてある。赤は朝、緑は昼食後と、薬剤師がわざわざ線を引いて、飲み忘れや飲み間違いを防ぐ工夫をしているのだ。

「普段の患者さんの生活面とかについて、お薬を渡している時に相談を受けたりするので、患者さんのお薬だけじゃなく、生活面でサポートしていきたい」(名地)

その老人ホームから出てきた入居者の夫婦が、スタッフの手を借りて、ホームの隣にあるウエルシアへ入っていった。週一回、夫婦でのショッピングを楽しみにしているという。

ホームのそばへの出店は住宅街戦略の一環。少しでも生活の張りになればと、今後さらに増やしていく計画だ。

地域に寄り添って勢いを増すウエルシアにこの春、265人もの新人薬剤師が入社した。入社式では池野が彼らに、「地域の安全安心を皆さんと一緒につくり上げていきたい。それはウエルシアしかできないんです。一人一人が薬剤師として地域を支えていく企業になりたいのです」と語りかけた。

病院や調剤薬局と並んで、就職先にドラッグストア、中でもウエルシアを選ぶ薬剤師が増えているという。ウエルシアの新人薬剤師は「病院や調剤薬局は主に調剤メインだが、僕は一般用医薬品も詳しくなりたいので、ウエルシアのような調剤併設型のドラッグストアを選びました」「私は地域医療がやりたくてこの会社に入ったので、地域に住んでいる方に信頼される薬剤師を目指しています」と、入社の理由を語っている。

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