重なる虐待とDVの現場。母親が我が子を殴る継父を止められない訳

 

第二に、では、実母はなぜその行為を止めさせることできなかったのでしょうか。義父にしても、実父にしても同じなのですが、実は、児童虐待の現場とDVの現場は重なっていることが多いのです。共通項として、女性である母親は、直接的な身体的暴力、罵声や悪言など心理的暴力、性的な服従を強いられている中で、「別れなければならないと思ってはいます。しかし、毎日の日常の恐怖、さらには、経済的理由などから、逃れることができません。

そして、配偶者と同じように「認知の歪み」に入り込んでしまいます。実際に、暴力で子どもを殺してしまった女性から聞いたものの中には「もし、夫が怒って殴ると、子どもは壁にぶつかるくらい飛んでしまう。だから自分がやったほうが、ダメージが少なくて済んだから」と言ったものもありました。「やらないと自分が殴られるから」とも言っていました。実のお母さんから、暴力を振るわれ続けた子どもの中には、脳がすっかり縮んでしまった子もいます。どんなにか悲しかったことでしょう。

第三に、児童相談所の判断の間違いがあります。死亡した子どもの4人に1人は児童相談所が関わっています。目黒区の事件でも、相談所の話として、「親に子どもと会うことを拒絶された。親と信頼関係を築こうと思っていた」とあります。さらに、反省点として、「都道府県間のケースの引き継ぎ」や、「一時保護の見極め」、「親が拒否する場合は警察官へ家庭訪問の立ち合い依頼をすべきだった」と述べています。

しかし、本質的な誤りは、「子どもの人権よりも大人の自己決定を優先した」ということです。そのような考え方の背景を私はよく理解することができます。実際に、福祉系大学の教科書では「自己決定が大切だ」と教えられています。他の児童虐待の事例においても、「父母が『施設ではなく家庭で子どもを育てたい』と希望するので、虐待はあっても家庭で子育てすることを支援することとしたい」と児童相談所が判断した事例もあります。

根本的な間違いは、強者である親の自己決定意思)」と弱者である被害者の子どもの人権権益)」を、取り違えていることです。自分の意思を表明することも決定することもできない、幼い子どもの生命をそもそも、強者と天秤やふるいにかけることに、間違いはありませんか、というものです。

児童相談所からこんな話も聞いたことがあります。「子どもを保護したいが、施設もいっぱい里親は不足。ケースを見極めて、入れたり出したりして、子どもが自立するまで時間稼ぎをするしかないのだ」というものです。

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