重なる虐待とDVの現場。母親が我が子を殴る継父を止められない訳

 

今回、みなさんに考えていただきたいのは、加害者の父親を「いじめ加害者」に、母親を「傍観者」や「いじめ加担者」に、児童相談所を「小中学校」、児童相談所の担当者を「担任の先生」と考えたらどうでしょうか? ということです。どうでしょうか、背筋が寒くなりませんか。いずれにしても、児童虐待ならば「児童相談所」、いじめならば「学校」が、キャスティングボードを握っていることに他なりません。責任ある判断は、児童相談所や学校がしなければならないのです。

それゆえに、学校や教育者でなければ、どうしてもできない仕事があります。それは、加害者への訓戒であり再教育」です。しかしながら、子どもへの教育はできても、親に対する再教育は事実上、困難であることも事実です。やや話が戻りますが、児童虐待の加害者は、自分が悪かったとは思っていません。「ちょっとしか、こづいていないのに、おおげさに青あざをつくって失礼だ」と、自分が被害者のように言ったりしています。このようなメンタルに至るまでの生育歴や、家庭環境が大きく関係しています。しかし、成人を変化させるのは、たいへん困難です。刑罰という、身をもって知る償いに任せることになるでしょう。

一方で、子どもたちは、「良き教育者」に巡り合うことで、考え方を変え、人生を変えることができます。父母に愛されていない子ども、貧困にあえぐ子ども、衝動性を制御できない子ども、言語でなく手や足を出すことでしか表現できない子ども、これらの子どもたちに対して、広く深い人間愛を持って、忍耐強く子どもの魂に語りかけている尊い先生たちがいます。

昨今では、いじめ被害者といじめ加害者の境界線があいまいになっています。子どもたちはある時には加害者に、ある時には被害者になるということを繰り返しています。そういう時代だからこそ、脳が縮み、魂を歪ませ、行為に障がいを生んでいる子どもたちを、あたたかく包んで、忍耐強く繰り返し教えていかねばなりません。

子どもの感性を伸ばし、相手を思いやる力をつけ、自由と創造性の翼を広げることは教育の使命です。先生方は疲労困憊されてしまっておられる方が多いと思いますが、そのご苦労は、必ずや徳の光となって、いずれ魂を輝かせていくと信じています。

前名古屋市教育委員会 子ども応援委員 スクールソーシャルワーカー
堀田利恵

image by: Shutterstock.com

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