このご時世になっても部活でのしごきがメディアで問題視されることがありますが、日本社会ではこうした風潮が社会人になっても消えません。 営業現場では、売上未達の部下に対し上司・先輩が詰める、つまり「つるし上げ」が多くの職場に残っています。今回の無料メルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』では、著者で現役弁護士の谷原さんが、「なぜできない?」と詰めることで問題は解決しないと力説します。
なんでできないのか?
こんにちは。
弁護士の谷原誠です。
部下が仕事をうまくできなかったり、ミスをしたりしたとき、子どもが勉強や作業などをうまくできなかったりした場合に、「なんでこんなこともできないの?」と怒る人が多いように思います。
しかし、うまくできない人は、「できない理由」を知りません。どうすればうまくできるかがわからないから、できないのです。
したがって、うまくできない人に「なんでこんなこともできないの?」と質問口調で怒ったとしても、満足する答えは返ってはきません。相手を責めることで、傷ついた自尊心を回復しようとしているものです。
ところが、相手はいつまでたってもうまくできないので、また怒るはめになってしまいます。精神衛生上よくないですね。
怒っている人の得たい結果は、何でしょうか? それは、「うまくやってくれること」のはずです。
相手に答えられない質問をしても、うまくできるようにはなりません。うまくできるようにしたいのであれば、うまくできるように思考するように相手の思考をコントロールすることが大切です。
思考をコントロールしたいときには、「質問」の出番です。人は質問されると、その質問について考えて、答えを見つけ出そうとするからです。今回の場合、まずは、できることを前提にした質問をすることになります。
では、どんな質問を作ったらよいのか?
質問を作る基本は、中学生の時に習った「5W1H」です。「できることを前提に」「5W1H」で質問する。
- WHAT
「うまくできるためには、何が必要だと思う?」 - WHO
「誰の協力があれば、うまくできると思う?」 - WHERE
「どこで学べばできるようになる?」 - WHEN
「いつころできるようになる?そのために今することは?」 - WHY
「なぜ他の人はできるんだと思う?」 - HOW
「どうしたら、できると思う?」
このように、
- できることを前提に
- 5W1H
で質問すれば、相手は、「できることを前提に、できるようになる方法」を考えだし、その答えを探します。怒って相手を責めるよりも、ずっと自分のためにもなるのではないでしょうか。
今日は、ここまでです。
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