電話越しで突然「どうすればいいですか?」と質問されることが多いという、無料メルマガ『ビジネス真実践』の著者で戦略コンサルタントの中久保浩平さん。なかには社名も名前も名乗らずに「画期的な方法を教えてくれ」と聞いてくる非常識な人もいるそうですが、中久保さんは「まず、どうすればいいかと、いきなり聞いてくる時点でダメ」だとバッサリ。こういう経営者や管理職の人間は、ビジネスの一番面白いところを捨てていると指摘しています。
答え欲しけりゃ実践あるのみ
「どうすれば営業の成績が良くなりますか?」
「いったいどうすればうちの会社は良くなりますか?」
「どうすれば当店にも行列ができるほどのお店になりますか?」
「どうすれば人が育つのですか?」
など、とにかく「答えを教えて下さい!」というノリで相談されてくる経営者や管理職の人が過去には少なからずいらっしゃいました。特に印象に残っているのは、電話越しで、
「画期的な営業方法があるなら教えてくれませんか?」
というもの。社名も名前も名乗る前からこれですから、さすがにびっくりしたというか、呆れました。「営業方法を知る前に、まずは礼儀を知れ!」なんて思いながら…
「そんな画期的な方法なんてありませんよ。たとえあったとしても事業内容も社名もお名前も分からない方にお教えすることなどありません」
といって受話器を置きました。
誤解を恐れずにいうと、とにかく答え欲しさに「どうすればいいのか?」と開口一番にいってくる時点で、ほんとはダメなのです。だから、そうした相談者には、
「どうすればいい? という言葉が真っ先に口をついてくるあいだは、何をやってもダメですよ」
というような苦言を呈していました。意地悪でもなんでもなく、ほんとにそうだからです。なぜなら、こうした相談者のほとんどが、自ら考え動く前に「画期的な方法やノウハウ=正解」を求めてくるからです。
商売、ビジネスに1+1=2というような答えなど存在しません。そのことが分からないうちは何をやってもダメなのです。それでも「いやっ、成功ノウハウは巷にたくさんあるじゃないですか?」なんて反論される方もいるのですが、そんなものを求めるからご自身の商売やビジネスがおかしくなっていくのです。
無理矢理フレームワークや法則なんてものに当てはめようとするから自分の商売、ビジネスの軸からドンドンとズレていく。またドンドンとズレていっていることにすら気がつかなくなっていき、益々窮地に追い込まれます。本末転倒とは、まさにこのことです(身をもって経験済みです)。
答え欲しさに「どうすればいい?」というアプローチは、相談でも何でもありません。たとえ「こうすればいい」と正解を言ってもらったところで、その会社やお店にそれ以上の成果は見込めません。それ以上の伸びシロがあっても成長、発展できないのです。
つまり「どうすればいいか?」という問いに対する明確な答えなどなく、その答えを実践の中で探っていくのが商売、ビジネスの面白いところなのです。自ら、その面白いところを捨ててしまってはほんとにもったいないことです。
ちなみに、状況が芳しくない中、相談くださる方で飛躍的に成長や発展をされていく方というのは、ほぼ100%に近い割合で、
「現在、○○に向かって、こうこうこのようにな取り組みをしています。取り組み始めて6ヶ月ですが、結果が伴っていません。今一度、戦略、計画から見直していきたいと思いますが、アドバイスいただけませんか?」
というように具体的に行動した結果に基づきアプローチされてきます。
つまり、実践でしか得るものはないということがよく分かっているのです。なので、方程式や答えを教えてもらおうという意識などまったくありません。商売やビジネスの中で学び成長するには、実践するしかないのです。1+1=2のような明確な答えはないのです。その代わりに1+1=4にも5にも6にもなるのです。
■今日のまとめ
『ビジネス、仕事、商売の正解は実践の中でしかない。』
・自社、自店の商売、ビジネスをさらに発展・成長させるための実践計画をノートにまとめてみる。
・ノートを基に社内みんなでも話し合い、実施計画に取り入れる。
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