「働き方改革」関連法案が成立したことにより、70年ぶりに大きく動いた日本の労働法。しかし、その具体的な内容について、スラスラと言える人は少ないのではないでしょうか。無料メルマガ『新米社労士ドタバタ日記 奮闘編』では、そんな働き方改革関連法案について、会話形式で詳しくわかりやすく紹介しています。
働き方改革法案成立
平成30年6月29日(金)午前、政府が今国会の最重要法案とした働き方改革関連法案が参院本会議で可決、成立した。労働基準法など計8本の法律を一括で改正。
長時間労働を是正するため、時間外労働時間の規制は「原則月45時間、年360時間」と定める。繁忙期に配慮し、上限は年間で計720時間、単月では100時間未満に規定し、違反した企業には罰則を科すなど、時間外労働の上限規制や、正社員と非正規の不合理な待遇差を解消する「同一労働同一賃金」、高収入の一部専門職を労働時間の規制から外す「脱時間給制度(高度プロフェッショナル制度)」の導入を柱とする。
日本の労働慣行は大きな転換期を迎える。
新米 「働き方改革法案、通っちゃいましたね~」
大塚 「とうとうだね」
E子 「6月28日夜、参議院厚生労働委員会で採決が行われ、自民・公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決。衆議院本会議でも可決ってねー」
深田GL 「投票総数235のうち、賛成164、反対71だったんだってね」
新米 「うーん、最近の法改正は強行突破が多いですよね~」
大塚 「『高度プロフェッショナル制度』は、成立しないと思ったけど、あれまで通っちゃったのは驚いたわ!」
E子 「過労死対策、ブラック企業対策って言われているなか、逆行しているみたいに感じるわぁ~」
新米 「ホントですよね」
深田GL 「脱時間給制度って言い方にもなってるみたいだね」
E子 「残業代は支給せず、成果で賃金を決めるってことからのネーミングよね」
大塚 「でも、その言い方はないですよね。脱時間給ってねー」
深田GL 「狙いは、無駄な残業を減らし、労働生産性の向上につなげる。でも、そんなうまくいかないだろうなぁ…」
大塚 「職種を限定したのは、せめての救いですよね。まずは、年収1,075万円以上の金融ディーラーやコンサルタントなどの専門職が対象ですね」
深田GL 「あと、制度を利用するには、導入することに労使間で合意。当然、対象者本人の同意も得る必要がある」
E子 「健康確保措置は、『4週間で4日以上、年104日以上の休日確保を義務付け』『労働時間の上限設定』『2週間連続の休日』といったことなどから1つ以上の対策を選択することも必要ね」
新米 「この制度って、貴方はこうって、いったん決められたらどうしようもないんですか?」
大塚 「いやだって言えないかってこと?」
新米 「そうです。普通、働き方って部署単位や職種単位で決まってますよね」
E子 「『高度プロフェッショナル制度』は、対象者が自らの意思で制度から離れることもできるそうよ」
新米 「へぇ~、それは良かった~」
大塚 「今回の法改正って、平成27年4月に労働基準法の改正法案が国会に上程されてから3年、その前からの労働政策審議会等の審議も含めると4年以上かかってるわね」
深田GL 「8本の法律をまとめて改正だろ。20年間くらいでこなすボリュームを一気に行うくらい今回は、相当な大改革ということだよな」
E子 「これだけ大きな労働法の改正は70年ぶりっていえるかもね」
新米 「えぇ~!! 70年ぶり?」
所長 「そうだね。平成11年に変形労働時間制、年次有給休暇の日数追加など、平成5年に労働時間週40時間制など、そのときの改正も影響は大きかったけどね」
新米 「40時間制の前は何時間制だったんですか?」
所長 「週に48時間制だね。ちょうど、私が社労士の仕事を始めてすぐくらいには、就業規則を全社、週40時間制にすることで大忙しだったよ」
大塚 「うわぁ。それは、育児介護休業規程は就業規則の絶対的記載事項だからって作成していくレベルじゃないですね」
深田GL 「労働時間って、みんなの気になるところ、賃金と共に根幹ですもんね~」
所長 「そうだよ。あのときは、労働時間を削減する=賃金にまで変更事項がついてまわるから、40時間になりました! って簡単に変えるわけにはいかなかったんだ」
E子 「そりゃそうですよね」
所長 「おまけにそれに絡んだ助成金もあったから、てんてこ舞いだったね」
深田GL 「今回は、『同一労働同一賃金』という大きなテーマがあるから、これも就業規則に関係してきますね」
E子 「うん、フレックスにしても計画年休にしても、就業規則の変更がつきものだもんね」
所長 「これから忙しくなるぞ。心して、乗り切ろう! みんな。頼むぞ」
全員 「は~い」
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