健康志向の方や女性に人気の玄米。しかし、まだまだ多くの方の生活に浸透しているとは言えないのが現状です。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』でMBAホルダーの青山烈士さんが取り上げているのは、寝かせ玄米をライフスタイルに取り入れてもらうことを目標として、そのきっかけになるべく「おむすび屋さん」を展開するという逆算の戦略をとる企業。その取り組みが詳しく紹介されています。
ゴールから逆算
玄米に特化した人気のおむすび屋さんを分析します。
● いろは(玄米を使用したおむすび屋)
戦略ショートストーリー
健康志向の方、食事に気を使う方をターゲットに「オリジナルの寝かせ玄米」に支えられた「無理なく食生活を改善できる」等の強みで差別化しています。
オリジナルの「寝かせ玄米」を使ったおむすびを様々なこだわりの具材と組み合わせて提供することで、顧客から支持を得ています。
分析のポイント
ゴールから逆算
「いろは」を展開している「結わえる」は世の中の食生活、ライフスタイル、価値観を“メリハリ寝かせ玄米生活”で変えていく。ことを掲げて事業展開しています。
売り物としては、寝かせ玄米を取り入れた食生活、ライフスタイル、そのものを売っていると言えます。このライフスタイルを浸透させるための打ち手のひとつが「いろは」になります。
「いろは」はあくまでも「メリハリ寝かせ玄米生活の入口」という位置づけで「寝かせ玄米の美味しさを体感してもらう場」としての役割を持っています。「おむすび」という食事の選択肢として定番の商品を選ぶことで試しやすい環境をつくっています。
ライフスタイルを取り入れてもらうためにはまずは体感してもらわなければならないと判断したのでしょう。どんなに良いものでも試してもらえないと良さを実感できませんからね。体感しやすい商品として意図的に「おむすび」を選んだということです。
そして、美味しいと感じてもらえれば寝かせ玄米を好きになって、リピートしてくれるかもしれませんし、寝かせ玄米を取り入れたライフスタイルに興味を持ってくれるかもしれません。
これから、店舗数の拡大を目指していくようですが、ライフスタイルの認知度を拡大することにもつながると思いますので興味を持ってくれる方を増やすための打ち手であると想定できます。
上記のように「結わえる」の打ち手はライフスタイルを売るというゴール(実現したいこと)から逆算して考えられているということが伺えます。ゴールから逆算して打ち手を設計するというのは当たり前のようで、意外と難しいものですが、「結わえる」は、しっかりと設計できている事例であるといえるでしょう。
今後、「結わえる」「いろは」からどのような打ち手が打たれ、新たなライフスタイルとして定着していくのか注目していきたいです。
◆戦略分析
■戦場・競合
- 戦場(顧客視点での自社の事業領域):玄米を使用したおむすび屋
- 競合(お客様の選択肢):白米のおにぎりを扱う店、コンビニ など
- 状況:玄米の消費量は低下傾向のようです。
■強み
1.寝かせ玄米の美味しさを体感できる
- もっちもちで甘くて旨味があり、栄養価も高い
2.無理なく食生活を改善できる
- 1日1食、寝かせ玄米を取り入れるだけで健康の土台が作れる
- ダイエット効果(太りにくい体)も期待できる
★上記の強みを支えるコア・コンピタンス
- 原材料へのこだわり
→玄米は、農家直送特別栽培玄米100%、北海道十勝産小豆、瀬戸内さぬきの自然塩のみ、精白糖は使わず、喜界島産組糖、天然の鰹、昆布、煮干しの出汁、野菜は可能な限り皮を剥かずに丸ごと、国産原料で伝統製法の醤油、味噌、水はマイナスイオン豊富な浄水活水器を通したものを使用 - 寝かせ玄米
→特殊な圧力鍋で炊いてから保温状態で3~4日間熟成させた、もっちもちで甘味と旨味と香ばしさが豊かな、究極の玄米ご飯
上記のような、こだわりや独自のノウハウが強みを支えています。
■顧客ターゲット
- 健康志向の方、食事に気を使う方
- ダイエットしたい方
◆戦術分析
■売り物、売り値
「玄米おむすび」
- 小豆塩むすび:160円 / 黒米塩むすび:180円 / はと麦塩むすび:180円/
- もち麦塩むすび:180円 / 十五穀塩むすび:200円 /
- おかかと生あみ:220円 / 紀州南高梅:230円 / 肉みそ生姜:230円 /
- 国産鮭:240円 / 葉唐辛子:240円 / 江戸前生のり:240円 /
- とろろ昆布:240円 / えごま昆布:240円 / ひじきと三つ葉:260円 /
- 半熟味玉:300円 / ちりめん山椒:300円 / ピリ辛糀味噌:300円 など
「その他のメニュー」
- おはぎ(特性あんこ、玄米粉、黒ごま):各160円
- くるみ入り五目稲荷(一個):140円
- お魚・お肉の寝かせ玄米定食 ※池袋WACCA店限定:950円
- 玄米甘酒(プレーン):300円 など
■売り方
「『メリハリ玄米生活』を広める」
- 様々な雑誌や書籍などをとおして、紹介されています
■売り場
- 渋谷ヒカリエ、池袋WACCA、仙台アンダンチに出店
→今後、店舗を拡大していく方針
※ 売り値や売り物などは調査時の情報です。最新の情報を知りたい場合は、企業HPなどをご確認ください。
image by:『寝かせ玄米と日本のいいもの いろは』公式ホームページ