のらりくらりの金正恩。トランプの北朝鮮外交は「正解」なのか

 

トランプの、中東、北朝鮮観

2017年、トランプ時代がはじまりました。彼は、イスラエル・ネタニヤフ首相の親友。娘のイバンカさんは、ユダヤ人クシュナーさんに嫁いでいる。彼女は、「ユダヤ教」に回収し、「ユダヤ人」になっている(ユダヤ人の定義は、「ユダヤ教徒」であること。もし皆さんが、「ユダヤ人」になりたければ、なることができます)。

そしてイバンカさんの子供たち、つまりトランプの孫たちは、「ユダヤ人」。それで、トランプは親イスラエルなのです。この「親戚ファクター」、「大国の大統領がそんなことで?」と思いますか? 実をいうと、この「親戚友達ファクター」は、非常に重要なのです。ヒラリーだって、ファミリービジネス「クリントン財団」の資金集めに奔走していた。

「ハエもトラも」で汚職追放運動を進めてきた習近平。そんな彼でも「身内のトラ」は、放置しています。プーチンは、昔からの友達にガスプロムとロスネフチの経営を任せている。だから、トランプが、親イスラエルなのもわかります。そんなトランプは、イラン核合意から離脱しイランとの対決姿勢を強めています。

では、北朝鮮問題はどうなのでしょうか? 2017年はじめて北朝鮮核問題が、「最重要」になりました。理由は、金がこの年、狂ったように核実験ミサイル実験を繰り返したからです。そして、「米本土に届くICBMが間もなく完成する」という情報がアメリカを恐怖させました。

質問の答えにいきましょう。

北野様にお伺いしたいのは、トランプにとってイランと北朝鮮何れの問題が深刻と考えられますか?、です。

これは、もちろん北朝鮮でしょう。金は「米本土を核攻撃できるICBMを完成させた!」と宣言している。そして、米国防総省は、「まだできていないが、年内には完成するだろう」と予測している。つまり、北朝鮮は、アメリカにとって「ホンマモンの脅威」である。

一方、イランには核兵器がない。IAEAは、「イランは、合意内容を順守している」と宣言していて、正直いえば、まったくアメリカの脅威ではありません。しかし、イランは、イスラエルにとっては最大の脅威である(数人の読者さんから、「イランは、ドル基軸通貨体制に挑戦しているので叩かれるのでは?」というメールをいただきました。この件は、長くなりますので、別の機会にします)。

トランプにとっても、アメリカにとっても、北朝鮮は最重要課題。しかし、相手は、核をすでにもっているので、慎重にいかざるを得ない。

日本にも強気な人たちがいて、「北朝鮮なんて攻撃してつぶしてしまえ!」などと主張しています。そんな人たちにききたいのは、「その時、日本はどうするの?」ということ。全部アメリカにやらせて、日本は何もしないつもりなのでしょうか? それとも、集団的自衛権を発動させて、全力で米軍をサポートするのでしょうか(私は、戦争反対ですが、それでも戦争になったら、全力で米軍をサポートすべきだと考えます。同盟国なので、当然ですね)? それに、金がヤケッパチになって、日本に核ミサイル、化学兵器ミサイルを撃ってきたらどうするのでしょうか?

どう考えても、戦争よりも外交で解決した方がいいのです。経済制裁を強化しつづけ、最終的には外交、交渉で解決する。うまくいくいかないはともかく、行けるところまで行くべきです。つまり、トランプのやり方は、北朝鮮に限っていえば正解なのです。

image by: shutterstock

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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