相手から「もっと詳しく聞かせてくれないか?」を引き出す商談術

 

実践2:具体的な利益の提示

先ほどの「目的」は抽象的なゴールのようなもの。ここに、具体性を加えるステップが必要になります。端的に言うと、数字で表せる情報です。

つまり、提携を果たすことによって

  • 新規顧客が○社増える
  • ○億円の売上増が見込める

こういった情報です。

聞いているうちに思わず相手の口元がニヤついてしまうようなメリットを提示する必要があります。細かい根拠は、後回し。ここでは、相手の心をつかむことだけに徹します

「明確な目的の提示」のステップで「聞いてやってもいいか」となった話が「ぜひ詳しく聞きたい」というレベルに昇華されるステップです。

実践3:ペインポイントの確認

さて、ここまでの段階で相手の興味を引き付けることに成功しました。その次に必要なのが実現にあたっての課題(pain point)を確認する作業です。

例えば、ある外国の市場に新規参入する場合。

  • 人員不足
  • 言語の壁
  • 技術の不足

といった問題から、いくらメリットがあっても、実現が難しい、という場合が考えられます。こういった課題を相手から引き出す必要があるわけです。

これが、エレベーターピッチの最後のステップ。ここでも重要なのはあくまで、主語を「We」とすること。相手の課題を単に聞き出すだけでなく「 私たちの課題 」として何をお互い助け合うかを話し合うステップです。

結果:エレベーターピッチから、次の段階へ

例のCEOに対して、この3つのステップ5分ほどで終えました。その結果、「もっと詳しく聞かせてくれないか」この言葉を引き出すところまで話が進み、今に至ります。

もともと、会ってもらえただけで奇跡といっていいシチュエーション。「今回は時間がないので、また今度」そうやって終わる可能性だってありました。そこから見事に挽回できたのは「エレベーターピッチ」のおかげです。

でも、このエレベーターピッチ、なんの準備もなしにいきなり成功するわけではありません。そこに至るまでにはある習慣が必要です。じゃあ、その習慣とは?そこで次回は、「いつものノートで仕上げる、エレベーターピッチの下準備」というテーマで、お話します。お楽しみに!

image by: Shutterstock.com

金田博之この著者の記事一覧

世界MBAランキング首位のINSEADエグゼクティブMBA卒業。1998年、外資系大手ソフトウェア企業のSAPに新卒入社。30歳からマネジメントを歴任、7年連続グローバル・トップタレント選出。 2014年、日本の大手製造・流通企業ミスミグループでGMとしてグローバルDX新規事業を推進後、最先端AI/チャットの外資系IT企業、ライブパーソン(LivePerson、NASDAQ上場)の代表取締役に就任。3年間で毎年300%超成長(アジア全体売上の76%)。 2020年12月、クラウド型ネットワークセキュリティのトップ企業ゼットスケーラー(Zscaler、NASDAQ上場)にて、日本を含むアジア全体を統括する代表取締役に就任。 セミナー、企業、大学等で講師経験10年以上、受講者のべ5,000名以上。日経BP、東洋経済ほかメディア掲載多数。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 金田博之のMBA実践メルマガ~ゼットスケーラー日本・アジア代表が動画と教材で教える経営フレームワークのすべて 』

【著者】 金田博之 【月額】 ¥550/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 月曜日(祝祭日・年末年始を除く) 発行予定

print
いま読まれてます

  • 相手から「もっと詳しく聞かせてくれないか?」を引き出す商談術
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け