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本気で習近平を潰しにきたトランプ。米が中国の民族弾圧を猛批判

アメリカが中国のウイグル人弾圧の非難を開始しました。トランプ政権は、ここに来てなぜ突如人権問題を取り上げたのでしょうか。国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんは自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で、中国の少数民族弾圧は今に始まったことではなく「黙認状態」だったことを指摘し、アメリカが対中情報戦を視野に入れ始め、「政治の道具」として人権問題を利用したいだけ、今後米中関係は悪化するだろうとの持論を展開しています。

アメリカが、中国のウイグル人弾圧を非難!

アメリカと中国の関係が、ドンドン悪化してきました。まず、皆さんご存知のように貿易戦争がはじまった。そして、CIAは、「中国の狙いはアメリカにかわる超大国になることだ!」と断言している。

詳しくはこちら→【朗報!】★CIAが中国の野望に気がついた

アメリカ政府、今度は「中国はウイグルのイスラム教徒を弾圧している!」と非難しはじめました。

<米政権>「ウイグル、数十万人を拘束」 中国当局を批判

毎日新聞 7/28(土)21:33配信

 

【ワシントン工藤哲】中国新疆ウイグル自治区のイスラム教を信仰する少数民族ウイグル族をめぐり、トランプ米政権が「中国当局がテロ対策を名目に数十万人を拘束している」と批判を強めている。中国側は「内政干渉だ」と強く反発している。

「中国当局がテロ対策を名目に数十万人を拘束している」そうです。中国は、なんでも規模が大きいですね。

ペンス副大統領は26日、ワシントンで講演し、ウイグル族の住民について「数十万、あるいは数百万とみられる人たちが、再教育施設に移され、政治教育を強いられている。宗教的な信条が脅かされている」と懸念を示した。

今度は、「数百万」という数字がでてきました。「再教育施設」でされる「政治教育」とは何なのでしょうか? 「習近平主席を愛しなさい!」と洗脳が行われるのでしょうか? それとも「イスラム教はインチキだ」と洗脳されるのでしょうか(ちなみに、中国は宗教を否定する共産主義=無神論国家です)?

米政権で人権問題を担当するカリー国連経済社会理事会大使も同日、議会の公聴会で、習近平指導部が昨年4月以降、テロや過激主義者に対処するとの目的で、イスラム教徒への抑圧を強めていると指摘。自治区内ではイスラム教徒の食生活や名前、宗教教育にも当局の介入が続いているとし、「中国にこうした政策をやめるよう求めた」と述べた。

なるほど。食生活や名前、宗教教育にも、当局の介入が続いていると。こんなことをすれば、逆にウイグル人が反発しそうですが。そこは、「武力を使って徹底的に抑え込んでしまえ!」ということなのでしょう。

利用される人権問題

皆さん、アメリカ・欧州というと、「人権最先進国」と思っていませんか? 国内に限っていえば、そのとおりなのだと思います。しかし、欧米が外国の人権問題に言及するときは政治の道具であることが多い。

たとえば、アメリカは、イランの核問題だけでなく、「独裁体制を批判します。しかし、絶対君主制サウジアラビアの独裁体制を批判しません。「親米なら独裁でもいい」と…。たとえば、欧米は、ロシアが「反同性愛者的だ!」と非難します。しかし、イスラム教国の多くが同性愛者を弾圧していることを無視しています。

というわけで、「人権問題」というのは、欧米にとって、しばしば「政治の道具」なのです。その証拠に、「世界一人権にうるさい」はずの欧州は、中国の人権問題を、ほとんど批判していません。習近平が、国家主席の任期制限(二期まで)を撤廃し、終身国家主席の道を開いたことも、批判していません。というか、そもそも欧米は、中国が「共産党の一党独裁国家であること」を問題視すべきでしょう? では、なぜ欧米は今まで中国の人権問題を無視してきたのでしょうか

金です。金(キム)ではなく、カネです

1989年、天安門事件が起こり、アメリカで反中の機運が高まりました。1991年には米中共通の敵ソ連が崩壊した。それで、「もはや人権侵害国家中国と仲良くする必要はない!」という機運が盛り上がった。

しかし、中国は、ゴールドマンサックス会長だったルービン財務長官を取り込むことに成功します。ルービングループは、「中国は、これからもっとも成長する国です。このメッタにないビジネスチャンスを逃すわけにはいきません!」と、クリントン大統領を説得した。米中関係、1970~1990年までは、「対ソ連同盟」だった。しかし、これが1990年代半ばに、「金儲け同盟に転化したのです。それでアメリカ中国の人権問題は、「見ないフリをしよう」ということになった。

では、どういうときに「人権問題利用される」のでしょうか?

ある国の「異常性」を世界に示したいときに使われる。中韓は熱心に「慰安婦問題」のウソを拡散していますね。これも、「日本は異常なんだぜ!」と世界に思わせたい。つまり、「人権問題の指摘」は、しばしば「情報戦の一環」なのです。

アメリカがウイグル問題を指摘しはじめた。まだ断言できませんが、アメリカが対中情報戦をはじめたのかもしれません。トランプ政権トップの対中観が、厳しくなっているのでしょう。

このこと、日本にとっては、安全保障上の観点から、もちろんよいことです。

image by: shutterstock

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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