なぜ七味「八幡屋礒五郎」は全国にその名が知られるようになったか?

 

日本三大七味店が強力タッグ~「SHICHIMI」を世界へ

京都・清水寺の近くに店を構える「七味家本舗」は1655年創業の老舗だ。外国人客も多い。男性客に店員がポットから注いだのは関西のダシ。ダシの本場・京都とあって、この店ではずらりと並んだ七味をダシに入れて、試してみることができるのだ。

そんな「七味家本舗」に室賀の姿が。迎えたのは七味家本舗の15代目、福嶌良典さんだ。二人で連れ立って京の街へ。向かったのは、京都駅近くの「リーガロイヤルホテル京都」。ロビーで待っていたのは東京・浅草の「やげん堀」の10代目、中島徳明さんだった。七味発祥の店と言われる、1625年創業の「やげん堀」。昔ながらの調合スタイルを今も守っている。

実は今回、「日本三大七味店」と呼ばれる3社が、初めて手を組み画期的なプロジェクトを始めようとしているのだ。温めていたプランを2人に披露する室賀。資料には「七味三都物語」と書いてある。室賀のプランは、3社合同でウェブサイトを立ち上げ、七味の魅力を国内はもとより海外に向けて発信していこうというものだった。最初は、もちろん日本語で制作をしていますけども、インバウンド向けに、これを英語、中国語、韓国語と、そうした対応をしていきたいと思っています」(室賀)

和食ブームを受けて、今や世界共通語となった「WASABI」(ワサビ)のように、「SHICHIMI」(七味)という言葉も世界に広めたい。室賀の提案に2人も前向きだ。「どういう風に打ち出していくか、1社で考えていると難しい部分があったりするので、3社でお話しすると、やっぱり心強いですね」(福嶌さん)

「『WASABI』同様、『SHICHIMI』がフェイスブックとかの公用語になってもらうとうれしい」(中島さん)

七味が世界の「SHICHIMI」となる日も近いのか。

04 ~村上龍の編集後記~

「八幡屋礒五郎」が何よりも大切にしてきたのは「信頼」で、それが282年という歴史を支えた。「客が迷っていたら、小さいサイズを勧める」。これほど、利益より優先する何かを端的に示す言葉はないのではないか。

土産物としてスタートし、まず地域に愛される食品となり、今や知名度は全国に拡がる。

しかも、「発祥の地である善光寺でしか味わえないもの」を考え、同時に七味唐辛子が持つ可能性を追求する。

生存のために絶対必要な食品ではないかもしれない。だが、七味唐辛子のない世の中は、非常に寂しいだろう。

 <出演者略歴>

室賀豊(むろが・ゆたか)1961年、長野県生まれ。1987年、八幡屋礒五郎入社。2004年、代表取締役社長就任。

(2018年7月12日にテレビ東京系列で放送した「カンブリア宮殿」を基に構成) 

source:テレビ東京「カンブリア宮殿」

テレビ東京「カンブリア宮殿」

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