進む世界の米国離れ。トランプが「拡大と発散」戦略で向かう滅亡

 

中間選挙のためか?

勝つ戦略とは、「選択と集中」であるが、トランプ大統領がしていることは、「拡大と発散」であり、そのような戦略を取ると、普通、破滅すると言われる

普通は、1つ1つの課題を「選択と集中」で解決していく。その都度、多くの味方を集めて少ない敵に譲歩を求める方法を取る。それを複数回実施して、全体の解決を図る。それがマネージメントの基本だ。政治も同じ。

「拡大と発散」の原因は、中間選挙に勝つ必要からであり、そこに「選択と集中」したことで、政策全体では「拡大と発散」していると見えるが、これは滅亡する論理のような気がする。

裁判とアカウント削除

トランプ大統領の元個人弁護士マイケル・コーエン氏は、ニューヨークの連邦裁判所で証言し、トランプ氏から2016年の選挙運動中に2人の女性へ口止め料を支払うよう指示があったことを明らかにした。トランプ大統領は、選挙資金から口止め料を支払っていないから問題がないと言うが、今までは、2人の女性との関係はないとしていた。この件で、また1つ疑惑が事実になった

また、フェイスブック、Apple、ツイッターなどが、ヘイトサイト、ウソニュース元などのアカウントを削除したが、その多くが強烈なトランプ支持である。現在メインのニュースで、トランプを支持するのはFOXしかない。そのFOXでさえ、ロシア・プーチン大統領の大統領選挙介入はないという意見にトランプ大統領が同意したことには、批判した

しかし、アンチワシントンという雰囲気がトランプ支持をサポートしている。そして、支持率は依然40%を維持している。批判が強い方が、トランプ大統領は有利と思っている。

だが、中国の米企業製品不買運動や世界的な嫌米的な雰囲気から多くの国の庶民は、米企業製品を買わなくなっている。このため、そのような企業の業績は下降してきている。米国株価を維持しているのは、アマゾン、Apple、グーグル、NVIDIA、Netflixなどのハイテク株である。

今は、米国経済は絶好調であるが、今後の関税UPは米国経済にも悪影響が出てくるはずである。まだ、半年程度、この好調は続くというが、いつかはダメになる。トランプ大統領もこの事実を知っているので、中間選挙に向けて経済好調を言わない。11月前に景気後退が起きると見ているからだ。

米企業経営者の反乱

米企業の経営者などは共和党支持者であるが、特にコーク兄弟は、非上場のコークグループのトップであり、共和党へ巨額献金していることで知られている。しかし、11月中間選挙では、反トランプの民主党共和党の候補に献金すると方針を変えている。

多くの大企業経営者もトランプ大統領の政策に反対している。特に世界全体への難癖には、経営的にも非常な重荷になっている。

また、軍産学などの影の政府にも危機感が出ている。全世界を敵にしているので、米軍の孤立化が起きて、世界にいる米軍が危機的な状態になるからだ。特にトルコと問題を起こして、シリアにいる米軍の退路を遮断している。

しかし、トランプ大統領からすると、世界展開する米軍はすべて撤退するべきであり、撤退すると軍事費が大きく減額出来て減税が一層できるとみている。

そして、米国は孤立でも生きられる。ユーラシア大陸とは離れているので、米国に戦争を仕掛ける国もない。米国企業も米国に戻り、米国だけでビジネスをすればよいのであると。

ということで、トランプ大統領は、共和党主流派の軍産学と企業なども敵にし始めている。そして、とうとう民主党だけではなく、共和党主流派も弾劾裁判に賛成する可能性が高くなってきた。そうしないと、共和党は上院でも過半数割れを起こす可能性がある。下院は、既に民主党が勝利の方向のようである。

このような状況であるために、トランプ大統領の威光が低下して、FRBのパウエル議長も、トランプ大統領が利上げをするなと言っても、ジャクソンホールで利上げを9月に行うと宣言した。12月の利上げは、新興国経済の状況を見る必要があると利上げ中止もありえるとして、トランプ大統領にも配慮している。

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