【書評】「元」中国人と残留孤児二世が語る世界一危ない国・中国

 

もうひとつの大問題は、中国の経済成長の次の柱が見えないことだ。習近平の能力ではそれも絶望的だろう、と矢板。経済が成長しない、あるいは経済がダメになるという前提で、どうやって共産党の政権を守るのか。見本は毛沢東時代である。いずれ経済が回らなくなるという前提から、独裁政治を目指した、と石は見る。習近平はこの5年半、権力集中にしか動いていない

「中国崩壊説の崩壊」は常に言われているが、矢板はずっと崩壊説を書き続けている。病状は確実に悪化している、と。習近平が犯したいちばんの過ちは、経済をわかっていないのに経済運営の最高指導権を自分が握ったことだ、と石。今後の中国共産党幹部は習近平政権の中で生きていくためには、経済成長に取り組む必要などない。習近平に忠誠を尽くし、覚えがめでたければそれでいい。

習近平がここまで権力を握ると、将来中国でどんな悪いことが起きても、誰も責任はとらない。集団指導体制に幕が引かれた「集団的無責任体制」のなか、すべての責任は習近平が一手に担うことになる。そういう体制が長続きするはずがない。そして、反腐敗キャンペーンが政治経済の活力をすべて失わせた。

唯一、気持ちよく座るのは習近平だけだが、リスクはすべて彼が背負っていく。側近以外は誰も動かない。それでは問題に対処することができない。いずれ破綻するしかない。経済か、対外貿易か、内政か、後継者問題か、爆弾は山のようにある。習近平は国内矛盾を克服するためにも、戦争を仕掛ける可能性がある。

日本にとって今後最大の脅威は、習近平が手を出そうとしている地域がすべて、日本の生命線的であることだ。石平は言う。「習近平の台頭は、日本にとって、1930年代のフランス・イギリスが直面したヒトラーの台頭と同じような意味合いがあります」。中国は世界で一番幸せな国ではなく、「世界で一番危ない国なのである

編集長 柴田忠男

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