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あえて危険を冒す。山中伸弥教授に学ぶ「リスクテイカー」の信念

あえてリクスを引き受け信念を持って諦めることなく挑戦を続け、それをやり抜いた人が大きな成果を手にすることができる…。成功者のほとんどが、このような「リスクテイカー」であるとするのは、無料メルマガ『戦略経営の「よもやま話」』の著者・浅井良一さん。浅井さんはiPS細胞で知られる山中伸弥教授の奮闘ぶりを例にあげ、「リスクの先にある成功」について考察しています。

山中教授の賢さとは

リスクテイカー」という言葉があります。「危険を冒す人」という意味ですが、大成功をおさめた創業経営者のほとんどすべてがこの「リスクテイカー」だと言えます。“大きな成果は、誰もが尻込みするリスクに信念をもって挑戦し諦めることなくやり通した人たちのみが手に入れる賜り物”です。

成功した多くの創業経営者がいますが、模範的なのは松下幸之助さんで、そして飛び抜けているのはソフトバンクの孫さんのように思われます。どちらもやや趣が違うのですが、偉大な「リスクテイカー」だと言えます。

ここでiPS細胞の山中教授について、その来し方を追いかけてみたいとみたいと思うのです。それは、山中教授も代表的な「リスクテイカー」の一人だと言えることと、“なし遂げる能力”を体現した人なのであり、その事実を理解したいがために詳細に入り込んで行きたいと思うのです。

“大きな成果”は一筋縄には行きません。失敗や試行錯誤の連続の中で、先に言った原理・原則的な“なし遂げる能力”の本道を外さず身につけて一所懸命に準備して、やがて訪れた機会を逃さず捉らえてひるまず没入した結果つかみ取るものです。ただし、いつもそうなのですが終わりなどなく次のステージがあるのですが。

山中教授が整形外科医になろうとしたのは、自身が何べんも骨折して何べんも世話になった経緯があったからだそうです。無事医学部を卒業して念願の整形外科医になったのですが、ところがとんだ落とし穴があったもので、手術が下手で教官からは「ジャマナカ」めと言われて、この道をすすむのを断念し医学部薬理学の大学院に入りなおします。

薬理学の基礎研究に転向したのは、どんな名医でも治せない脊髄損傷やリウマチなどを何とか治せないかとの思いがあったからです。その大学院時代に取り組んだ犬の実験で、予想だにしなかった正反対な結果が出てすごく興奮し、自分は研究者に向いているんだなと思ったそうです。研究は3年続けたのですが、それをまとめて博士号を取ることになります。

博士号をとった薬学ですが、薬というのは100%効くことはなく副作用もあったりで、色々限界があることからさらなる飛躍を考えるようになりました。そんな時期に「ネイチャー」「サイエンス」といった研究論文を掲載する雑誌に博士研究員の募集があり、それに応募して最初に返事が来たサンフランシスコのグラッドストーン心血管研究所で実験補佐をすることになりました。

グラッドストーン心血管研究所でおこなったのがまさに遺伝子の実験研究で、そこでiPS細胞研究へと向かうきっかけになったのが同研究所の所長だったロバート・メイリー博士の「研究者としての人生を成功するためには目的をビジョンをはっきり持ってそのために一生懸命働く』」という言葉でした。ここから将来行う研究の目標と考え方が定まって行くことになります。

けれど、日本に帰ってからがまた一波乱で研究環境は劣悪で500匹の実験用のネズミを一人で面倒を見、周りの人からは「もうちょっと医学に関係することをした方が良いんじゃないか」と言われる始末で“うつ状態に陥り研究者を辞める一歩手前まで行く始末だったと述懐されています。

それが逆転したのは人間の「ES細胞」の作成があり、ダメもとで申し込んでいた奈良先端科学技術学院大学で研究室を持てることになったからでした。

自身の研究室を持てたことが契機となって、受精した胚細胞からつくる「ES細胞」ではなく、普通の皮膚などの体細胞を「初期化」することで「万能細胞」をつくるというビジョンがかたまりました。iPS細胞をつくりあげるのですが、そこには研究生活で成功の準備が整っていたこととなすべき能力を持ったことがその背景にあります。

ここで言いたいことは、ビジョンを持たずリスクも負わず「成すべき能力」の法則に則っとらず一生懸命働かずではiPS細胞は生まれようがないということです。「幸運の女神」は「成すべき能力」を身に付けた人が、永守重信の言う「すぐやる必ずやる出来るまでやるを行った時に微笑むようです。幸運も不運もすべてが非情であり、知恵ある人がそれをつかみ取ります。

<成すべき能力>

以上をよく再検討していただければ、人それぞれの個性にあった最高の形が構築できると思う次第です。

image by: Shutterstock.com

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戦略経営のためには、各業務部門のシステム化が必要です。またその各部門のシステムを、ミッションの実現のために有機的に結合させていかなければなりません。それと同時に正しい戦略経営の知識と知恵を身につけなければなりません。ここでは、よもやま話として基本的なマネジメントの話も併せて紹介します。

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【著者】 浅井良一 【発行周期】 ほぼ週刊

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