さまざまな「ハラスメント」が問題となっている昨今、カスタマー・ハラスメントまたはクレーマー・ハラスメントという言葉を聞いたことはありませんか? 今回の無料メルマガ『採用から退社まで! 正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』では著者で社労士の飯田弘和さんが、企業全体で悪質なクレーマーへの対応を早急に行うべきだとして、その対処法について詳しく紹介しています。
御社では、クレーマー・ハラスメントへの対応を行っていますか?
カスタマー・ハラスメントあるいはクレーマー・ハラスメントという言葉をご存知でしょうか? 要は、悪質クレーマーによる自己中心的で理不尽な要求のことです。
大声で怒鳴ったり、土下座を要求したり、代金の支払いを拒否したり不当な金銭要求をしてくる輩がいます。客という立場を悪用して、反抗できない相手に対して悪質なクレームをつける、実に汚い行為です。
このカスタマー・ハラスメントやクレーマー・ハラスメントの被害に最も合いやすいのが、店舗の販売員やカスタマーセンターのスタッフなどです。
クレーマーの中には数時間に及ぶクレームを行う悪質クレーマーもおり、その対応によって従業員が長時間拘束される事態が発生しています。当然、他の業務が滞ってしまうし、何より、そのような悪質クレーマーへの対応によって、従業員は強いストレスを感じます。中には、精神疾患を発症する人もいます。
このような悪質クレーマーへの対応を現場や従業員に任せきりにしていれば、業務の滞りや従業員の退職等による人手不足が起きかねません。会社が適切な対応をしなければ、従業員から「安全配慮義務違反」による損害賠償を請求される可能性もあります。会社は、悪質クレーマーに毅然と対応しなければなりません。
あらかじめ、従業員がどのように対応すべきか対応方法等を定めておくべきでしょう。苦情やご意見と悪質クレームの線引きも必要です。あまりに悪質である場合には警察への通報等も含めて対応策を練るべきです。
カスタマー・ハラスメントやクレーマー・ハラスメントの問題は、あおり運転やモンスターペアレント、モンスター社員の問題と本質が同じではないかと思います。一部のイカレた連中が的外れな自己の権利を主張し、それが通らなければ騒ぎ立てる。そして、報復と思われるような行動を起こす。
「お客様は神様!」なんていうのはウソ、ウソ! 少なくとも、悪質クレーマーを、他のお客様と同様に扱う必要などまったくありません。
悪質クレーマーのせいで従業員が定着せず、閉店に追い込まれた店舗が存在します。悪質クレーマーのせいで体調を崩した従業員が、会社に損害賠償を請求するケースもあります。労災と判断されることもあるでしょう。
厚生労働省の「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」報告書によると、
・顧客や取引先からの著しい迷惑行為は職場のパワーハラスメントと類似性があるものとして整理することが考えられる
・事業主に対応を求めるのみならず、社会全体で機運を醸成していくことが必要である
といった意見が記載されています。
ただ、現実問題としては、何もしないで社会の機運が醸成されるのを待っているわけにはいかず、会社として悪質クレーマーに対する早急な対応が求められます。カスタマー・ハラスメントやクレーマー・ハラスメントに対して何も手を打たずそのままにしている企業リスクをしっかり考えていかなければなりません。
以上を踏まえて、改めてお聞きします。
「御社では、クレーマー・ハラスメントへの対応を行っていますか?」
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