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小学校の現役教師が「先生はブラックではない」と断言する理由

世の中的には「教師の仕事はブラックだ」という認識が広まっていますが、今回の無料メルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』では著者で現役教師でもある松尾英明さんが「教師の仕事はブラックではない」と断言しています。松尾さんは、「中にはブラックな職場もある」としたうえで、その実態を紹介しています。

教師の仕事はブラックではない

先日の仕事術セミナーでの学び。参加者とのセッションタイムに「教師の仕事はブラックか」という話題になった。私の意見としては明確に「否」であることを伝えた。

ブラックかどうかは、本人が決める。講座の中でも話したが、やりたくない残業を強いられる状況が「ブラック」。やりたい残業ならどんなにやっても「ホワイト」である(例えば附属小のような研究校で、毎夜目をギラギラさせながら、楽しそうに教材研究を続けている人を知っている。これは、全くブラックではない。部活動も然り)。

決して教師の仕事がブラックなのではない。ブラックな職場が存在する、というだけである。ブラックな働き方が存在する、というだけである。

講座の中で、ブラックと言われてしまう原因となっている具体例をいくつか挙げた。最もわかりやすいものが「時間外会議」が常習化している学校である。

ここでいう会議とは「二人以上で集まって協議するもの」を指す。例えば学年主任が「ちょっと今からいい?」というのも、「学年会」という会議の一つである(また、今回会場で、最も苦笑いが起きたのが、これである。多くの若手が、特にこれに困っている)。

管理職が「時間外の会議は原則認めない」と明言している学校がある。決して「残業を認めない」ではない。認めないのは「時間外の会議」である。つまり、会議出席者の意思と反する時間外の拘束である。時間外に「働く」のは構わないが、命令として「働かせて」はいけないのである(ちなみに法的には、校長にのみ、時間外勤務の命令権限が与えられている)。

留守番電話の設置の話も紹介したが、ここに関連する。時間無制限に電話対応を認めているから、拘束される時間が無制限に延びる。はなから、一定時間以外を対応不可にすればいいのである。一般企業では当たり前のことである。学校の特殊性を考えて、緊急時だけ管理職に転送されるようなシステムにする方法もある。

そういう諸々できる対応をしないで、ブラックだなんだと文句ばかり言っていても仕方ない。「気に入らなければ自ら変えよ。さもなくば従え」という言葉は、至言である(『アルフレッド・アドラー 一瞬で自分が変わる100の言葉』小倉広・著/ダイヤモンド社 より引用)。

職場をブラックにしているのは、結局自分である

・子どもが
・親が
・地域が
・同僚が
・管理職が
・学校の仕組みが
・学習指導要領が
・文部科学省が

全部そうなのかもしれないが、そうでないともいえる。少なくとも確実に言えることは、「過去と他人は変えられない。変えられるのは未来と自分」ということだけである。

他人がどうこうと文句言っている間は、それに従うべきである。自らを行動を起こして抗う意志がないのだから、素直に従う。文句を言いながら従っていても、負け犬の遠吠えでしかない。だったら、文句を言わずに従う方がよほど潔い。何でも文句を言えばいいというものではない。無闇やたらと上司に刃向かうものは、小物であるとも言われる。

もう一つの選択肢が、自ら行動を起こすことである。例え小さくても、自分のやれることをやる。上司に建設的な提案をする。それでも変わらなかったら? 何度でも行動を起こす。その魂がないのであれば、体制に従うしかない。

厳しいようだが、甘い世界なんてない。一般企業は、雇用の上ではよほど厳しい。「そんなに嫌ならやめろ」の世界である。少なくとも、従っていたら一定の給与と立場が保証されるのだから、きついのはある程度当たり前である。

楽して
楽しく
気楽に

そんな幻想をまず捨てる。

大変で
辛くて
気合いがいる

そんな覚悟をしてみる。覚悟を決めると、不思議なことが起き始める。ある時、全て、ひっくり返るのである。これは、体験している人なら、誰でも納得するところである。

人一倍、思い切り苦労してやるという覚悟。気合い入れて、痛みに耐え切ってやるという覚悟。言うなれば「プロレス根性」である。これこそが、意外にも苦しみを抜け出す秘訣かもしれない。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 松尾英明 【発行周期】 2日に1回ずつ発行します。

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