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なぜ、山梨県は「長寿」なのか?AIの分析でわかった衝撃の理由

長寿大国日本、その秘訣は今まで運動や食事等の面から語られるのが一般的でしたが、AIが分析したところ「読書」という斬新な結果が生まれたそうです。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では、著者でマンション管理士の廣田信子さんがその詳細を紹介するとともに、固定観念なしのAIが先に解析、人間が後で解釈する方法が主流に代わるだろうと考察します。

健康寿命には「運動よりも食事よりも〇〇が大事」

こんにちは!廣田信子です。先日放映されたNHKスペシャル「AIに聞いてみた どうするのよ!日本」の「健康寿命に関するAIの分析がすごかったです。見られた方も多いと思いますが、これは書かずにはいられません(笑)。

日本人の平均寿命は、男性81.09歳、女性87.26歳。これに対して、健康寿命は男性72.14歳女性74.79歳。「健康寿命」とは、厚生労働白書では、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されています。この差が10年あるのです。特に女性は寝たきりや介護が必要な状態が長いのです。で、国の経済を考えると、この最後の10年間にかかる医療費は1人の人生の半分に当たるのです。この間の年間の医療費・介護費は5兆円にのぼるといいます。

で、健康寿命を延ばすことが国を挙げての大命題で、様々な取り組みがされていますが、さらに、何かよい方策がないか、今回、AIが分析を行ったら、びっくりする結果が出たのです。

分析したデータは、北海道から沖縄まで、延べ41万人の高齢者へのアンケート結果です。600以上の様々な角度からの質問項目について、10年以上追跡調査したものです。これに関して、AIが人間には不可能な膨大な分析を行ったのです。1つの質問の回答と他の質問に対する回答との関係を18万通り調べ上げたのです。そこには、思いもかけない健康長寿の秘密がありました。

まず、健康寿命を延ばすためには、「運動よりも食事よりも〇〇が大事」ということがわかったといいます。で、〇〇に何が入るか…です。それが、あまりにも意外だったのです。私は、〇〇は、「人とのふれあい」とか「会話」かな。でも、そんなに意外じゃないし…と思って聞いていたのですが、何と〇〇は…「読書」だというのです。

えっ、「読書体動かさないし、一人でするもので会話もないし…と、半信半疑。それは、名だたる研究者の方々も同じで、この結果を聞いて、みなさんから「お~」と驚きの声が。質問への回答を健康要素(自分は健康だと回答している人の回答)不健康要素(自分は不健康だと回答している人の回答)に分け、各回答がどちらに結びついているかを調べているのですが、読書(本や雑誌を読む)は、健康要素119と結びつき不健康要素0という完璧な健康要素なのです。運動、食事に比べても断トツなのです。

で、本当なのだろうかと全国で一番健康寿命が長い(男性1位、女性3位)「山梨県を調査。実は、なぜ山梨県民の健康寿命が長いのかは県の担当者も分かっていなかったのです。そこで分かったのは、驚くべき結果です。なんと、山梨県は、人口に対する図書館の数が断トツで全国1位なのです。人口10万人に対する図書館の数は全国平均が2.61のところ、山梨県は6.59なのです。さらに、山梨県は、図書館司書の普及率が全国トップクラスで、戦後早い時期に学校に司書を配置し、子どもの時から読書の習慣を身につけさせているのです。これに対して、運動の実施率は山梨県は全国最下位だと言います。読書と健康寿命が結びつきました。このAIの分析を聞いて、山梨県の健康福祉課の職員の方々もびっくり。

この理由を専門家が推測しています。

等々です。この結果を受けて、調べると、読書をしている人と、しない人とでは平均寿命が2歳以上違うという論文があったり、なぜかわからないけど、図書館の近くに暮らす人は要介護リスクが低いという調査結果があった…といいます。行政としては、図書館をつくることで要介護を減らせるなら、介護や医療に比べて、格段に安い費用で対策できる…と注目することでしょう。今後、図書館整備が進みそうです。

私は、いろいろなことを思いました。まず、AIの固定概念にとらわれないビックデータ分析力のすごさです。すでに、いろいろな分野で、判断をAIにゆだね始めています。なぜ、そう判断したのか分からない不安がありましたが、AIの分析、判断力はやはりすごい能力なんだと、認識しました。これからは、AIが分析した結果の理由付けを後から人間がいっしょうけんめいする…間違いなくそうなっていくのでしょう。

それから、身近な事例からの実感として食べるものに気を使い、運動をしっかりして健康のために毎日を暮らしているような高齢者の方と、高齢になっても、仕事や研究、地域や管理組合のことを考えるのに忙しく、なかなか改めて運動教室に行けないし、人とたのしく外で飲食する機会が多くて…という人と、そんなに差がないというか…どちらかというと、後者の方が認知症にもならないし健康寿命が長いように感じていましましたが、それもありということが、AIによって立証された気がします。

そして、個人的には、運動より本を読むことの方が好きでもいいんだ~と、妙にうれしくなって、だからといって運動しなくていいわけじゃないよ…と慌てて自分に言いました。読書がやめられなくてウォーキングをさぼる理由に、AI分析を都合よく使いそうなので(笑)。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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