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社内平和を守るため。モンスター社員を懲戒処分する際のルール5つ

モンスター社員や問題社員が騒動を起こした時、会社ができる対応の中に懲戒処分があります。しかしながら、それも就業規則に定められていなければ不可能、かつ処分を科すにはいくつかのルールがあるそうです。今回の無料メルマガ『採用から退社まで! 正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』では著者で社労士の飯田弘和さんが、会社を守るために必須の規則とルールについて詳しく紹介しています。

懲戒処分のルールについてご存知ですか?

会社は、社内での秩序を維持確保する必要があります。そうでなければ、従業員が好き勝手にやって、収拾がつかなくなります。会社は、秩序維持のため、従業員に対し具体的な指示・命令を行うことができ、秩序維持に反する行為(非違行為)があれば、それを調査し懲戒処分を行うことができます

ただ、会社が無制限に懲戒処分を行えるわけではありません。必ず、就業規則への定めが必要です。就業規則に、懲戒事由と処分内容が定められ、それが周知されていなければなりません。他にも、懲戒処分を科すにはいくつかのルールがあります。

ルール1 遡及適用の禁止

懲戒規定を後から作っておいて、さかのぼって適用処分することはできません。後出しジャンケンはできないということです。

ルール2 二重処罰の禁止(一事不再理の原則)

一度処分した行為について、重ねて処分することはできません。たとえば、従業員のある行為に対して会社が懲戒処分として減給処分を科した場合、その後で、更に出勤停止等を科すことはできません。要は、1つの懲戒処分該当行為については1つの処分しか科せません。

ただし、一度懲戒処分を科したにもかかわらず、懲りずに同様の行為を繰り返した場合には、その行為について処分をしたとしても、同じ行為について二度処分したとは扱われません。ですから、何度も非違行為を繰り返す従業員に対して、その都度処分を科していくことは可能ですし、通常は繰り返すたびに処分を重くしていきます

1つ1つはそれほど重大な非違行為でなかったとしても、何度も繰り返し、反省や改善がみられないようであれば、懲戒解雇も有効とされます。

ルール3 相当性の原則

従業員が行った非違行為と処分の重さにバランスがとれていなければなりません。ただし、前述したように、たとえ軽めの非違行為であっても、それを何度も繰り返す場合には、重い処分を科すことが可能となります。

ルール4 平等取り扱いの原則

処分を科すときは平等でなければなりません。同様の非違行為について、前例と比べて極端に重い処分を科すことはできません。また、AさんとBさんが同様の非違行為を行ったなら、原則同程度の処分を科さなければなりません。

ただし、同様の行為を行ったとしても、役職や担当業務の違いによって処分の軽重が異なる場合があります。

ルール5 適正手続きの原則

特に、懲戒解雇等の重い処分を科す場合には、弁明の機会を与える等の手続きが必要となります。

繰り返しになりますが、懲戒処分を科すには、就業規則に定めがあり、その就業規則が従業員に周知されていることが必要です。今現在、就業規則のない会社があれば、早めに備えておいた方が良いでしょう。問題社員・モンスター社員が社内で猛威を振るいだしてから就業規則を作り始めても間に合いません。ぜひ、平和なうちに備えておくことをおススメします。

以上を踏まえて、改めてお聞きします。

「懲戒処分のルールについてご存知ですか?」

image by: Shutterstock.com

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就業規則とは、入社から退社までの「ルールブック」であり、労使トラブルを未然に防ぐ「ワクチン」であり、効率的な事業運営や人材活用を行うための「マニュアル」でもあり、会社と従業員を固く結びつける「運命の赤い糸」でもあります。就業規則の条文一つ一つが、会社を大きく発展させることに寄与し、更には、働く人たちの幸せにも直結します。ぜひ、この場を通じて御社の就業規則をチェックしていただき、問題が生じそうな箇所は見直していただきたいと思います。現役社会保険労務士である私が、そのお手伝いをいたします。

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【著者】 飯田 弘和 【発行周期】 週刊

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