誤報を認めない共同通信。真実に迫れない日本メディアの実態

 

共同通信ばかりではありません。25年ほど前のことですが、毎日新聞の防衛庁担当記者に「朝鮮国連軍について、外務省がどのような認識を持っているか確認して欲しい」と依頼したことがあります。私は、北朝鮮が韓国とともに国連に同時加盟したのは、米軍が北朝鮮を先制攻撃する兆候が感じられたとき、加盟国として国連に駆け込むことにより、国連軍としての米軍の行動に歯止めを掛けるためだと考えていました。

はたして外務省の回答は、「朝鮮国連軍は形骸化しており、米軍が北朝鮮を先制攻撃するようなとき、それに異議を唱えることはできない」というものでした。これは全くの間違いです。同じときに話をした韓国陸軍の高級将校は、米軍は「国連軍の首かせ」に縛られないよう、北朝鮮を挑発して先に手を出させ、「反撃」という正当な立場を獲得しようとするだろう、と言っていました。韓国も同様に考えているとのことでした。これは、国連軍の存在が米軍の行動を規制できることを物語っています。

毎日新聞の記者は、それ以上の取材をすることなく、外務省の見解をFAXで送ってきました。普通に取材する気なら、それほど難しくない話ですし、外務省側の無知を指摘できたと思うのですが、その新聞記者としての当たり前の行為もなされることはありませんでした。

私が直接、外務省に聞けば、やり取りの中で違った回答があったのかもしれませんが、毎日新聞の記者にはその姿勢と能力がなかった結果、レポーターならぬ「情報のポーター」と化してしまったのです。

私としては、外務省が新聞記者にきちんと対応できるかどうかをチェックしてみたかったのですが、新聞記者の側が誤報を防ぐ基本姿勢を備えていないようでは、前途は明るくないと言わざるを得ません。(小川和久)

image by: Allen J.M. Smith / Shutterstock.com

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地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。

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