どんな人でも仕事に関わっている以上、大小問わず失敗することはままありますが、「小さな失敗だからといって隠してしまうことにより、それが大きな失敗の伏線になっていることに気が付かなければ、致命的なミスになる可能性もある」とするのは、人気コンサルタントの中久保浩平さん。中久保さんは自身の無料メルマガ『ビジネス真実践』で、そのような環境はなぜ作られてしまうのか、そしてそれを防ぐためにはどのような対策を取るべきなのかを考察しています。
大きな失敗を防ぐには?
大小関わらず、ビジネス、商売、仕事の成功や失敗には必ず要因がありますよね。しかし、その要因に対して正確に向き合えていなければ次のステップへ踏み出すことが出来ません。それどころか致命的となる大きな失敗を引き起こすなんてことにもなりかねません。
以前、こんなことがありました。その会社は清掃代行業をしていました。商圏でのシェアはほぼ独占状態です。評判もよく、業績も右肩上がりで地域のみなさんから愛されていました。しかしここからです。勢い任せで次から次へと本業とは全く関連性の無い商品をお客様に提供していったのです。
最初のうちは「あの○○会社が売っているのであれば」ということでお客さんも購入下さり、売れ行きも順調だったのですが、次から次へ新しい商品を売ってくるものですから次第にお客さんからは「何でも売りつける会社」というレッテルを貼られてしまい、瞬く間にお客さんは離れていきました。そして、このことが本業の方にも大きく影響することになったのです。
大きく失敗した要因は、利益尊攘主義にあるのですが、それ以前に1つ1つの小さな要因に向き合っていなかったり、それらの要因が絡み合って大きな失敗への伏線となっていたことに誰も気がつかなった。あるいは気がついていても議論できる環境を作っていなかった、ということです。また、本業で成功している要因がどこにあったのか?という所にもしっかりと向き合い、理解していなかったから、というのもあります。
日々、仕事の中では失敗やミスをすることは多々あります。でも、どんな些細な失敗やミスも人は隠したがります。
「こんなこと知れたら上司に怒られる」
「給料に響くかもしれない」
「こんな失敗、お客様に知れてしまえば信頼を失うかも」
「こんなミス同僚に知れると、笑われてしまうよな」
などを気にするあまり真実を100%伝えきれないままウヤムヤにしたり、失敗やミスを正当化しようと尾びれ背びれを付けて報告してしまうのです。
これはコンサルティングをしていて、クライアントから受ける報告でもたまにあります。
100%真実・事象をそのまま伝えないことには改善することや献策することも出来ないので、当然、次のステップはありません。小さな失敗を見て見ぬ振りだったり、ウヤムヤにしたり、真実を曲げて報告してまうことは、やがて生み出す大きな失敗を抱えたまま突き進んでいくようなもので大変大きなリスクなのです。小さな要因をウヤムヤにしていく、真実を曲げて報告する、そんな積み重ねが、やがて大きな失敗を生む伏線となっているのです。また、先述した会社のように、成功しても、その要因、伏線に向き合うことなくそのまま突き進むのも、これまた大きなリスクなのです。
商売やビジネスにおいて、大きな失敗を未然に防ぐには日々の小さな失敗、成功といったものに正確に向き合い、その要因を客観的に把握し共有しておくことや、スタッフがどんな失敗であろうが成功であろうが100%、真実をそのまま報告できる環境を作ることが経営者にとってはとても重要なことなのです。それが根本的改善であったり、事業運営に役立ってくるのです。
さらには、失敗やミスが顕在化する前段階にも常に目を配っておくことも重要です。
- 過度な残業や長時間の労働が続けば、翌日の仕事に影響する
- 調子がいいときほど、注意力が散漫になったり、判断に誤りが出る
など、こうした目に見えない潜在的な要因が、失敗やミスとなって顕在化してきますから、抜本的に改善しなければならないことは何なのかがよく分かるようになります。こうしたことをきちんと管理し社内で共有できていれば、日々の小さな失敗というものは、全て成功への糧へと変わってきます。
失敗にしろ成功にしろ目の前の事象に一喜一憂することなく正確にそれらの要因を把握・管理し共有していく為には普段からどんな工夫をしておけば良いでしょうか? また、スタッフが事象の真実に対して主観を入れることなく100%そのまま報告できるようにする為にはどんな環境作りをする必要があるでしょうか? この機会にきっちりと明確にしておきましょう。
■今日のまとめ
「成功や失敗全ての要因は真実のみを記録し管理・共有すること」
- 仕事の中で失敗、成功したことを主観を交えることなくそのまま100%記録、管理、共有する為に社内でどのような取り組みが出来るか? 考えノートに書き出す。
- 社内みんなでも話合ってみる。
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