MAG2 NEWS MENU

【書評】元中国人が暴露「史上最大のウソ集団」中国共産党の実態

メルマガ『石平の中国深層ニュース』で毎回中国社会の深層を掘り下げた記事を配信してくださっている石平(せきへい)さんが、またまた中国の「不都合な真実」を記した書籍を上梓しました。そんな1冊を、今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』で、編集長の柴田忠男さんがレビューしています。

中国五千年の虚言史 なぜ中国人は嘘をつかずにいられないのか
石平 著・徳間書店

石平『中国五千年の虚言史 なぜ中国人は嘘をつかずにいられないのか』を読んだ。著者は日本に帰化した元中国人だが、中国人がなぜ嘘をつくのか、その歴史と淵源を調べ、著者なりに解説を加えたこの本をまとめてみると、「中国の歴史ではいかに嘘が重要なキーワードになってきたかということに正直私も驚いた」と「はじめに」で書いている。中国人は息を吐くように嘘をつく。

中国は何度も王朝交代を繰り返し、ときには数百年間、異民族に支配されてきた歴史もある。モンゴルに支配された時代は「モンゴル史」の一部だ。にもかかわらず、中国はチンギス・ハーンを自国の民族英雄に仕立て無理やり中国人だったという歴史の捏造を行っている。えー、うっそ~、笑えるぅ~。

「だいたい、中国に5,000年の歴史があるかどうかも疑わしい。それ自体が『嘘』という意味を込めて、『中国五千年』と謳った」という。各章のタイトルがステキ。

中国の歴史上、もっとも大きな嘘をつき続けているのが中国共産党であり、中国大陸に大きな悲劇をもたらし続けている。中国共産党の創立は1921年だが、主導権を握っていたのはコミンテルンである。最初からソ連共産党の中国支部的存在だったが、現在の中国の小学校で使用される教科書には、コミンテルンやソ連共産党との関わりは一切示されておらず、完全に隠蔽されている。

中国の虚言史の根本にあるのが「易姓革命」だ。儒教では、天命を受けた有徳の天子が王朝をつくり、万民を統治すると説く。その王朝が徳を失ったら天は新たに別の姓の有徳者に天命を与え新王朝を建てるという。どんな暴君であっても、前王朝を滅ぼして新王朝を建てれば聖君になれる。どんな優れた有徳者であろうと、滅ぼされたら後から「暴君だった」という物語がつけられる。

だから王朝交代は頻繁に行われる。暴をもって暴に代わる。天命なんてありやしない。「易姓革命は単なる欺瞞であり中国史における最大の嘘である。しかし、この「易姓革命」の嘘はいまも続き、習近平の神格化が進んでいる。日本では「嘘つきは泥棒の始まり」だが、中国では「嘘つきほど成功する」なのである。

同時に、愚かな者は騙されて当然だという風土でもある。誰もが騙し騙される時代にあって、いかに嘘に対抗するのか。嘘を見破るだけでなく、嘘には嘘で対抗するのがベスト、鉄則とされる。さらに、「いちばん親しい者こそが最大の敵」となる、徹底的な人間不信社会なのだ。毛沢東は劉少奇を失脚させ客死に追い込み、林彪は毛沢東暗殺を目論み、露見して逃亡中に航空機事故死した。

トウ小平は絶大な信頼を口にしていた胡耀邦と趙紫陽を失脚させ、習近平は自分を総書記に抜擢してくれた江沢民派に対して反腐敗運動を仕掛け、その幹部らを失脚に追い込んだ。面白い話が続々と。この本は小見出しが秀逸、それだけを拾い読みしても、史上最大の嘘集団の実態がわかる。

中国では建国も亡国も嘘から始まる。『三国志』には英雄たちが多く登場する。そのなかで一番教養があって文才、詩才に長け、謀略家であって大政治家である人物といえば魏の曹操だろう。この男の得意技こそ、嘘であった。

その稀代の嘘つきも、二重スパイに騙されて「赤壁の戦い」で生涯最大の敗戦を喫する。ライバルが劉備。『三国志演義』では義理人情に厚く、誠実な主人公として描かれ、殆ど聖人君子だが、現実は騙し討ちで国を盗んだ男である。しかし、今の中国人には優柔不断かつ偽善的とされ、曹操の強いリーダー像のほうが好かれている。

第5章「中国3大嘘つき列伝」では、易姓革命を正当化した大偽善者・王奔、「裏切り人生」の男の末路・袁世凱、本心を隠し続けて出世の後に破滅した、毛沢東の軍師・林彪が並んでいる。それぞれものすごい嘘つきであることを知ったが、リアルタイムで覚えているのは林彪だけだ。「嘘をつかなければ大事を成すことはできない」が座右の銘、心にもない毛沢東礼賛を繰り返した貧相な男だ。

2015年9月3日、中国は北京で「抗日戦争勝利70周年記念式典」を開催し、盛大な軍事パレードを行った。習近平は「14年の長きに及ぶ非常に困難な闘争を経て、中国人民抗日戦争の偉大な勝利を収めたことで、世界反ファシズム戦争の完全な勝利を宣言し」とか言ってるが、確か60周年記念式典では「8年にわたる抗日戦争」と言っていたはず。いつのまにか14年に大幅水増しされていた。

しかも、このとき日本軍と戦っていたのは共産党ではない。中華民国国民政府である。日本が負けたのは中国ではなくアメリカだ。アメリカに負けたので、形式的に連合国軍に全面降伏することになり、連合国の中にいた中華民国にも降伏したことになった、というだけ。「中華人民は日本軍国主義の完全な失敗を宣言したまったくの虚言。「世界反ファシズム戦争」とはお笑い草である。

だって通常「反ファシズム」といえば、対ナチスドイツを指すことが常識だから。それは日中戦争と何の関係もなく、ヨーロッパ戦線で中華人民が戦うことはなかったし、中国にも中国共産党にも、何の関係もない。日中戦争の中心は国民政府と蒋介石であり、共産党の八路軍は専らゲリラ戦の非正規軍だった。

その後、国民政府の蒋介石に攻撃され、1万2,500kmの逃亡行軍の末、延安に逃れたという不名誉を「長征」と名付けた。抗日戦争を主導し、日本軍国主義を打ち破ったというのは中国共産党の歴史捏造である。そして抗日戦争の犠牲者は年を追う毎に増えている。1950年に1,000万人、85年に2,100万人、95年に3,500万人になった。45年間で3.5倍増とは(笑)。そして根拠なき経済損失の額。

「習近平政権において、共産党一党独裁の正統性を強調するためには、反日抗日をテコにするしかないのである。そのため、抗日の被害を極大にし、それに打ち勝った中国共産党という神話を強化せざるを得ないのである」。いまも中国では嘘の拡大再生産中、習近平の功績が極度に強調され神格化も進行中だ。いまわたしは潮漫画文庫・横山光輝『三国志』全30巻を楽しんでいる。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

日刊デジタルクリエイターズこの著者の記事一覧

デジタルメディアで活躍する現役クリエイターたちのコラムで構成されている本格派。総発行部数約16000! 真のクリエイターを目指している方からデジタルに関わる方まで、すべてに向けて発行中!

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】 』

【著者】 日刊デジタルクリエイターズ 【発行周期】 ほぼ日刊

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け