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覚悟せよ。中国は米懐柔のためなら手段を選ばぬことを忘れるな

「今年はどんな年?」への正答は、その年が過ぎなければもちろん分かる由もありませんが、2019年の世界情勢において、大きな流れを予想する一案もあるようです。国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんは今回、自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で、ここ10年の米中関係を軸とした世界情勢をまとめ、今年の鍵は「米中覇権戦争の新展開」との見方を示した上で、最適な日本の役割について考察しています。

2019年に起こること

2019年は、どんな年になるのでしょうか?そんなことは、わかりません。しかし、「大きな流れ」はある程度わかります。

米中関係を軸にまわる世界

これまでの流れを振り返ってみましょう。

こんな感じになります。流れをみると、08年以降米中二極時代がはじまった。その関係は、「昇る中国沈むアメリカ」。実際、世界は08年以降、「米中を軸に」まわっていたのです。

しかし、オバマは1期目、「100年に一度の大不況」を克服するのに忙しかった。2期目は余裕がでてきた。ですが、「敵視する相手」は、

と中国以外の国にむいていた。2015年AIIB事件で、オバマはついに目覚めます。ようやく、「アメリカの真の大敵は中国だ!」と悟った。そして、この年、オバマは反撃に出た。中国はみるみる追いつめられ、15年、16年、この国の経済は、ひどく悪かったのです(高橋洋一先生は、15年は-3%程度だったとおっしゃっています)。

2016年反中のトランプが大統領になった。それで、「ついに米中覇権戦争がはじまるか!?」と思われた。しかし彼が大統領に就任した2017年、「米中覇権戦争」は起こりませんでした。理由は、北朝鮮が大暴れした年だったからです。

2018年、ついに米中戦争がはじまりました。ただの貿易戦争ではなく、覇権をかけた戦いです。

米中覇権戦争の形態

というわけで、「2019年に何が起こるか?」というのは、「米中覇権戦争で何が起こるか?」と同じ意味である。で、何が起こるの?「米中覇権戦争」とはいいますが、両国とも、相手を壊滅させるだけの核兵器を保有している。それで「戦闘にはなりにくい。結局、

がビシバシと行われることになるでしょう。情報戦ではアメリカが圧倒的に有利です。なんといっても中国は、人権完全無視の一党独裁国家。チベットの民を大虐殺し、今もウイグル人100万人を強制収容している。アメリカは、「事実を大さわぎする」だけで、中国を「悪魔化」できます。

外交戦。これは、実に悩ましい。トランプさんはかなり外交が下手です。それで、本来アメリカの「強い味方」であるはずの欧州が反トランプ中国ロシアに接近するという情けない結果になっている。

経済戦争。これは、もうはじまっていますね。

日本の受ける恩恵と損失

米中覇権戦争時代、日本はどうなのでしょうか?「よいニュース」と「悪いニュース」があります。よいニュースは、「安全保障面」。こちらをみてください。

反日統一共同戦線を呼びかける中国

中国は、

そして、実際日本を破滅させるためのアクションをつづけてきた。ここでは詳述しませんが、超ディーテールを知りたい方は、こちらをご一読ください。

●『中国に勝つ日本の大戦略』北野幸伯 著/扶桑社

ところが、「反日で共闘するはず」のアメリカは今や中国を最大の敵と定めた。これは、「安保面」で見れば、日本にとって「メデタイこと」に違いありません。わかりやすく書きます。

アメリカは、「日本に沖縄の領有権はない!」と宣言している超反日国家中国を征伐しようとしている。どう考えても、日本の国益です。

しかし、「大きな副作用」も覚悟しなければなりません。米中覇権戦争の主戦場は、「経済戦争」である。アメリカは、中国経済を破壊しようとしている。実際に、中国経済が破壊されれば当然日本経済も打撃を受けます。こんなご時世、日本では、消費税率が8%から10%に引き上げられようとしている。是非やめていただきたい

米中覇権戦争の副作用で、景気については悲観的にならざるを得ません。皆さん、去年から何度も警告していますが、今年も用心を怠らず、危機に備えましょう。

日本のリスク

さて、中国は12年、「日本を破滅させる」と決意し、熱心に取り組んできた。ところが、今はアメリカが「中国を叩きつぶす!」と決意している。中国はあらゆる手段を使って、「アメリカ懐柔を試みることでしょう。

一方で、アメリカ以外の国々にも接近し、「アメリカ孤立化」をはかるに違いありません。実際、強気すぎるトランプのおかげで、中ロ、中欧関係は良好なのです。

そして、中国のターゲットになるのが、「平和ボケ」「お人好し」「善良すぎる」日本です。日本には、「主体的な意志」が欠如している。相手が「嫌いだ!」というと、「まあまあ、仲良くしましょう!」となだめる。相手が「好きだ!」といえば、「私も好きです!」と応じる。

アメリカに追いつめられた中国が、ちゃっかり日本に接近してきた。日本の政治家は、「背景」「裏で起こっていること」を知らないので、大歓迎してしまう。別に、中国との関係をわざわざ悪化させる必要はありませんが、常に、「同盟国アメリカの方が中国より大事」ということを、「アメリカがわかるようにしておく必要がある。

日本はかつて、愚かにもナチスドイツを同盟国に選び、破滅しました。今回も、「米中戦争勃発と同時に中国に接近するという非常に愚かな動きをしています。日本の政治家は、なにも考えず、ただ「中国が関係改善を望んできたから」と思っていることでしょう。しかし、アメリカから見たら、「バリバリ狡猾な動きにみえることを理解しておく必要があります。

安倍総理、2次大戦時の教訓を活かし、同じ過ちを繰り返さないよう、お願いします。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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