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「お前はクビだ!」と突然言われたら?弁護士に対処法を聞いた

ある朝出勤したら、突然会社から解雇を言い渡された…。そんなとき、労働者サイドに打つ手はあるのでしょうか。今回の無料メルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』では、著者でテレビ朝日『報道ステーション』などの解説でもお馴染みの谷原誠さんが、解雇の分類や解雇が認められない場合、認められる場合等を詳しく解説しています。

突然会社から解雇を言い渡されたら

こんにちは。弁護士の谷原誠です。

普通に会社に出勤したところ、突然会社から解雇を言い渡されることがあります。この場合、労働者としては、どうすればよいでしょうか。もう会社から給料をもらうことはできないのでしょうか。

実は、会社は労働者を自由に解雇することはできません。違法な解雇の場合には、会社に戻ることができますし、給料を払ってもらうこともできます。ここでは、解雇の種類と、解雇の有効無効を判断するための大まかなメルクマールについて解説をします。

まず、解雇には、「懲戒解雇」と、それ以外の「普通解雇」に分けられます。さらに、解雇が有効か無効かを判断する基準からの分類として、

の3種類に分けられます。

「解雇」とは、法律的に言うと「使用者会社による労働契約の一方的な解約」ということになります。そして、民法627条1項では、

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。

と定められており、これを見ると、会社側はいつでも自由に従業員をクビにする(普通解雇とする)ことができるように見えます。

しかし、最高裁は簡単に解雇を認めないというルールを作っています。具体的には、法律の解釈として、

は、会社が権利を濫用したものとして【無効】とするという判断をしています。そして、平成19年に制定された労働契約法には、

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

と明文で定められることになりました(16条)。

このように会社は「普通解雇であっても自由に行うことができるわけではありません

それでは、客観的に合理的な理由がある場合とはどのような場合を指すのでしょうか?これは、大きく次のように分けられます。

  1. 労働者の私傷病や非違行為など労働者の責めに帰すべき事由による場合
  2. 労働者に規律違反の行為がある場合
  3. 経営上の必要性に基づく場合
  4. ユニオン・ショップ協定に基づく組合の解雇要求があった場合

以上4つです。なお、会社が就業規則を作成する(作成しなければならない)場合、解雇に関する事項は必ず記載しなければならないとされています(労働基準法89条3号)。

ところで、整理解雇とは、企業が経営上必要とされる人員削減のために行う解雇のことを指しますので、整理解雇は、上記のうち 3.に該当することになり、普通解雇の一つということになります。

もっとも、整理解雇は、会社が経営上の理由だけで解雇とするもので、従業員の非によって解雇するわけではありませんので、判例においても、この整理解雇が権利の濫用にあたるかどうかについては、厳しく判断すべきこととされています。具体的には、次の4つの要素を検討して判断されます。

  1. 人員削減の必要性
  2. 人員削減の手段として整理解雇を選択することの必要性
  3. 解雇される従業員の選定の妥当性
  4. 手続の妥当性(組合、従業員に対して説明、狭義を誠実に行ってきたか)

これに対して懲戒解雇は、従業員が服務規律に違反したり、会社の秩序を乱すような行為を行った場合に、その従業員に対する制裁の手段として、解雇という方法を選択することを指します。

この場合は、従業員側に懲戒処分とされるような問題の行為があることになりますが、それでも解雇という究極の処分が下される以上、解雇とすることについて強い必要性相当性が必要ということになります。

なお、懲戒処分の制度を会社で定める場合は、就業規則を作成する場合、就業規則に懲戒事由を定めなければならず(労働基準法89条9号)、かつ、その就業規則を従業員に周知させておかなければいけません。また、この懲戒事由に該当した場合でなければ懲戒処分を下すことはできないので注意が必要です。

では、会社から、突然解雇された場合には、従業員は、どうしたらよいでしょうか。詳しく知りたい方は、こちらを読んでみてください。

不当解雇を弁護士に相談したほうがよい7つの理由

また、残業代の未払いも社会問題化しています。残業代未払い問題に悩んでいる方は、こちらを読んでみてください。

残業代請求を弁護士に相談したほうがよい9つの理由

今回のメルマガや上記のページを読んでいただくとわかると思いますが、解雇が有効になるためには厳しい要件を満たす必要があります。従業員を簡単に解雇してしまう会社がありますが、それは簡単に認められるわけではありません。従業員の方が、異議を申し立てることによって会社に戻ることができたり、会社から解決金等の名目で金銭の支払を受けられる場合もある、ということを憶えておきましょう。

弁護士への法律相談は、こちらから(面談相談が原則です)。

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今回は、ここまでです。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 谷原誠 【発行周期】 不定期

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