教育評論家が断言、「子どものうちなら直る」はむしろ真逆だった

 

もって生まれた資質をつくりかえるのは簡単ではない

資質とは才能と性格のことです。才能としては、例えば生まれつき運動神経がいい、リズム感がある、数学的能力が高い、言語表現が巧みである、絵の才能があるなどです。

性格としては、例えば…。

いつもせわしなく慌ただしい人もいれば、のんびりゆったりマイペースな人もいます。やるべきことを先にやらないと気が済まないという律儀な人もいれば、先にやりたいことをやって嫌なことは後回し、土壇場力でなんとかするという図太い人もいます。いつも友達と一緒にわいわいやっているのが楽しくて幸せという社交的な人もいれば、できたら自分一人で気楽にしている方が落ち着いて幸せという内向的な人もいます。常に掃除や片づけや整理整頓をしている人もいれば、出せば出しっぱなしで一向に片付けない人もいます。

このように、誰にももって生まれた資質というものがあります。それをつくりかえるということなのです。どうですか?簡単な話ではありませんよね。これをやり遂げるためには、強烈なモチベーション強い意志力極めて高い人間としての総合的な能力が必要です。

でも、子どもにはこういうものはありません。吸収力しかないのです。

子どもには強いモチベーションがない

ですから、苦手なことを直す、つまり自己改造というものは、子どもよりもかえって大人の方が可能性があります。もちろん、大人にとっても簡単なことではありません。でも、子どもよりははるかに可能性が高いのです。

大人なら、何か失敗したときに「このままでは将来もっと困る。今のうちにこれを直さなければ今のうちにこれをできるようにしなければ」と考えたり、または将来への夢を真剣に考えたりすることで、自己改造への強いモチベーションを持てるようになることがあります。そして、それに基づく強い意志力も発揮できます。

でも、子どもは“今・ここに生きる存在であり将来のことを真剣に考えることが本質的に苦手です。ですから、自己改造への強いモチベーションも持てないし、意志力も続かないのです。

また、大人なら「これを直すぞ」と思ったとき、本を読んだり、ネットで情報を取ったり、カルチャーセンターで学んだりして、ノウハウを得ることができます。自分で工夫したり必要なものを買ってきたりすることもできます。大人には情報もあり、知恵もお金も行動力もあり、行動の自由もあります。つまり、人間としての総合的な能力が高いのです。

子どもにはこういうものもまるでありません。

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