安倍官邸が統計不正キーマンの厚労省官僚を即座に更迭した理由

 

「頃」が多過ぎる?

【毎日】は1面トップで追加給付についての記事、関連で3面の解説記事「クローズアップ」と社会面25面にも。見出しから。

1面

  • 追加給付工程 急場しのぎ
  • 統計不正 時期に「頃」多用
  • 予算委質問に備え
  • 対象2,000万人 最速は4月
  • 「再調査 職員排除」首相

3面

  • 統計不正で衆院予算委
  • 厚労省の「統治」問題視
  • 与野党から批判集中
  • 賃金上昇根拠で応酬

25面

  • 賃金構造基本統計 不正は「25年以上」
  • 旧労働省から脈々
  • 関係者証言 予算不足で訪問調査「不可能」

uttiiの眼

《毎日》は、ちょっと面白いところに着目した。1面トップ記事、見出し2行目は「統計不正 時期に多用」とある。発表になった追加給付の工程表(スケジュール)には「…ごろ」という表現が多用されている。《毎日》が作成した発表資料によれば9箇所。ただ、なぜ「…ごろ」が多用され、時期の関する記述がアバウトなものになっているかについて、記事は丁寧な説明をしている。

工程表は、衆院予算委に間に合わせるように作られたもので、問題発覚後、自民党厚労部会(部会長・小泉進次郎氏)から強く求められていたもので、昨日の予算委には小泉氏が質問に立ち、その後記者団に対して「最大の成果は工程表が明確になったこと。スケジュール感は安心につながる」と語っている。問題の早期収束を目指す政権と与党は、この点に注力していたことが窺える。

だが、厚労省は追加給付の対象者や給付額を特定するために、「大規模なシステム改修を進めて」おり、システム会社との間に完了時期についての確実な約束もないのだという。これでは、いつ、追加給付のための準備作業が完了するか分からない。厚労省の専用ダイヤルには3日までに6万6,000件の問い合わせが殺到したが、「いつ、いくら」支払えるのか答えることができないため、「謝罪窓口」と化してしまったらしい。そこで、工程表に書き込む場合でも、はっきりとした時期は書き込むことができず、「…頃とせざるを得なかったのだ。

政権や与党が、「何かを急がせる」ことが続いている。うまく問題を処理してくれるはずだった厚労省内の「特別監察委員会は大失敗だった。常識のある人なら「組織的関与と隠蔽」があったことは明らかと思えるのに、「そうとまではいえない」などと擁護したものだから、「監察」にも「中間報告」にもならなかった。工程表を拙速で仕上げてしまったために、内容に齟齬が出てきた時に、その理由を問い詰められることになるかもしれない。「…ころと言いましたよという抗弁が成立するものかどうか。

print
いま読まれてます

  • 安倍官邸が統計不正キーマンの厚労省官僚を即座に更迭した理由
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け