中国や北朝鮮の軍事的脅威に、日本人はまったく危機感がない。平和憲法、軽武装政策、日米安保条約、これらが日本人平和ボケの元凶である。専守防衛論は机上の空論、防衛費をGDP2%に増強すべし、産学一体で軍事研究に邁進せよ、兵器輸出を積極的に行え、ガラパゴス兵器をやめよ、自衛隊を日本軍と名称変更せよ、戦史教育をせよ、核武装せよ、と提案する。世界は弱肉強食が常識だ。
最終章が「韓国の勘違い……ベトナム戦争中の大量虐殺事件」である。ここまで具体的な話は初めて聞く。著者らが2014年にベトナム全土の19か所を調査した結果、ベトナム戦争中の韓国軍のベトナム人虐殺の人数は、ベトナム全土の約100か所、最少1万人~最大3万人となる。戦後最大のホロコーストである。
なぜ人数が分かるのかというと、虐殺地には必ず大きな慰霊廟があり、犠牲者の名前がひとりひとり刻まれているからだ。世界中どこにも、国内に多数の慰霊廟(碑)が建立されている国はない。しかも、すべての慰霊廟は(アメリカ軍のソンミ村虐殺以外)、韓国軍というたった一か国の軍隊による虐殺だ。
問題はこの大虐殺が国際的に表沙汰になっていないことで、未だに戦争犯罪として裁かれていない。「人道に対する罪」という戦争犯罪であって、重大な国際法違反事件である。戦争犯罪に時効はない。韓国現代史の一大汚点、一大恥部である。この本の勘違い人間のオンパレードはうんざりだが、最後はスーパーボランティア・尾畠春夫さんの話でしめていて、爽快である。
編集長 柴田忠男
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