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現役アナウンサーが教える、聞き手の興味を引く話し方の方程式

経験したこと、見聞きしたことについて話をするとき、どんな話し方をしたら相手の興味を引くことができるのでしょうか?メルマガ『話し方を磨く刺激的なひと言』の著者で、現役アナウンサーの熊谷章洋さんは、ポイントは、結論を「感動」という心の動きつきで話の最初に持ってくることだと言います。そして、最後の締め方は…方程式で覚える会話術、ぜひマスターしたいですね。

主観性、客観性を意識し、簡単に話を構成する方法

今回はいよいよ、話の締め方になります。といっても、この論法の場合は、最初に大結論=「感動」を表明してしまっていますから、それを繰り返すだけという簡単さです。

論法の方程式を、具体的な「導入の言葉」だけで表すと、

1、「いやー!(〇〇でしたよ!)」(これが大結論=「感動」にあたります。)

2-1、「要するに、(××だったんですけどね)」(ひとことまとめ)

 2-2、「Aという人(物、こと)が…どうした(どうだった)」(客観性の高い情報から…)

 2-3、「それがまるで…」(主観性の高い描写へ)

3、「それで(そこで、その時)思った(感じた、考えた)のは…」(主観=持論の展開)

「ポイントは・・」、「重要なのは」、「大事だなと思ったのは」という流れの話になっていますから(この話し方の方程式について詳しくは前回記事をご覧ください)、最後にもう一度、

4、「いやー!〇〇でしたよ、ほんと。」(大結論=「感動」)

…と、最初の大結論を繰り返すぐらいの終わり方で充分、話は締まります。この論法の何より良い所は、言わんとすることが、コンパクトにひと塊になっていることです。

1、「いやー!(〇〇でしたよ!)」という最初の感動表明は、今からこの感動についてのお話をしますよ、と相手に知らせる意味があります。聞き手がイライラする話の大半は、話の行き先がわからないこと、なのですが、この論法を使えば、聞き手は、今から何の話を聞かされるのか、最初に把握できますから、話の主旨が明らかになってくるまで、ゆとりを持って、あるいは我慢しながらも、耳を傾けることができるわけですね。

たとえ、あいだの説明などが長引いたとしても、話の行き先さえ先に明示していれば、聞き手はその話になるまでは、辛抱強く聞いてくれるものです。話の途中で聞き手に口を挟まれることが多い人、自分の話が長いことを自覚なさっている人は、この点に留意してみる必要があるでしょう。

ところで、この論法では、大結論が感動でなくても、実は成立します。つまり、1、「いやー!(〇〇でしたよ!)」ではなくても、例えば、「AがAじゃなかったことについて、お話ししますね」でも、成立します。

しかしそれだけですと、それであなたはどう感じたのか?という唯一無二の情報を、強調できない、あるいは、言い逃すことにもなりかねません。ですから話の切り口、話の軸を最初から、感動=心の動きにしてしまおう、という意図なのですね。

物は言いようとは、よく言ったもので、上記の、「AがAじゃなかったことについて、お話ししますね」も、話の切り口を、感動=心の動きに変えることは簡単なのです。「AがAじゃなかったので、要注意ですよ!!」これで良いのです。

情報量は激増しているのに、文字数は減りましたね!この違いが、「ただの」話の分かりやすい人と、魅力的な話し手との分岐点になります。

ありがちな話し方の解説などの定番「結論から先に言う」ことは、確かに、話を分かりやすくするとは思いますが、ワンランク上の話し手を目指すなら、それだけでは不十分何を結論とするか?というところが、本当はいちばん大事な部分なんです。

上記の例で言うと、「AがAじゃなかった!」でも十分に結論的だとは思いますが、ちょっと無機質ですよね。それを、「AがAじゃなかったので、要注意!」という、話し手の心の動きまで含めることで、話の切り口が、その話し手だけが言えることにまで昇華し、話全体を魅力的にしています。そして、それが言える人=魅力的な人、という印象を与えるわけですね。

もっとも、主観的な表現ができる環境にも配慮は必要だとは思います。つまり、「余計なことを言えない雰囲気」「場違いになるのが怖い」という状況です。ただこれは、その人の人柄、普段からのキャラクター次第だとも言えます。

逆に、主観的な表現ができそうもない環境があったとして、そんな場でも、誰々さんなら言えるよね~という人、思い当たりませんか?そういう人こそ、この話し方を実践している人物です。そしてその人の話が、傾聴に値するものになっている理由も、この部分にあります。やっぱり、ワンランク上ですよね…。

最後に、大結論=感動「+α」について。この論法における話の締めは、最初の大結論を繰り返すだけ、と始めに書きましたが、繰り返すだけにとどまらず、+αの言い換え、言い直しがあると、ぐっと話に奥行きがでます。

以前の記事でも、表現はふたつ(以上)並べるのが効果的、という話をしましたよね。上記の例で言うと、最初に、「AがAじゃなかったので、要注意!」と表明したとしたら、話の締めでは、「AがAじゃなかったので、要注意!いや、というか警報発令レベルですよ」と、+α

要注意と警報発令レベル、ふたつの表現が並んだことで、要注意ぐらいじゃなく、警報が出るぐらい、差し迫っているのか…と、そのふたつの表現の間に、聞き手の想像の余地ができるわけですね。こういった、+αを付け加える話し方は、話し手の、最適な表現を追求する姿勢の表れでもあります。

最初に、「これは要注意…」と思ったことでも、この論法で1~2~3と、客観的な説明から主観を増やし、持論を展開していく中で、「要注意という表現は物足りないな…」と思いなおすようなこともあるでしょう。そういう時には、後から+αを付け足せばいいだけ。

結果的に、聞き手のイメージを膨らませ、話に奥行きを与えるわけですから、一石二鳥ですよね。話す内容や構成を始めからガチガチに固め過ぎると、こういう柔軟な対応がしにくくなるものです。

そしてこういう柔軟な対応の中にこそ、聞くに値する情報や魅力が含まれます。だからこそこのような、フレキシブルに、後からなんとでもなる話し方・論法を身につけると、強いんですよね…。

image by: XiXinXing, shutterstock.com

熊谷章洋この著者の記事一覧

アナウンサー歴30年、極限の環境で話し続ける著者が、実体験から会得した「話し方のコツ」を理論化。人前で話す必要がある人の「もっと〇〇したい」に、お答えしています。一般的な「話し方本」には無い情報満載。

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【著者】 熊谷章洋 【月額】 ¥346/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 月曜日(祝祭日・年末年始を除く) 発行予定

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