医師が解説。冬は授業開始を1、2時間遅くすれば成績が上がる理由

 

サマータイム導入の挫折

東京オリンピックの年にサマータイムを導入するという案がありましたが、廃案になりました。オリンピックがある夏に、時計の針を1時間から2時間先に進めるというものです。8月の中旬では東京の日の出時刻は約5時です。これを2時間早めて7時に日の出として、早く起きて仕事や学校に行かせるという発想でした。しかし、コンピューターの時刻設定変更などで莫大な費用がかかることがわかり廃案となりました。

私はこれが廃案となって良かったと思っています。日本人全員が睡眠不足になり、健康を害する可能性が高いからです。睡眠は健康に重要です。睡眠不足になると、高血圧、肥満、糖尿病にかかりやすくなります。癌にもかかりやすくなります。また、認知症になる危険性も高くなります。

それだけではありません。子供の学力は睡眠時間に比例します。人間の睡眠では6時間後に優位となるレム睡眠の時間は、貴重な直感と発想の時間となります。レム睡眠を2時間確保するためには、8時間睡眠が必要です。欧米の学校は、子供のスタート時間を増やすために、冬は授業開始時刻を1~2時間遅らせて、児童の成績をアップさせることに成功しています。

沖縄では子供たちや国民のために行うべきこととして、むしろ時差を設けてもよいと思います。沖縄と台湾の時差は1時間。私は仕事でよく台湾に出かけますが、台湾にいるときは体調は良好となることがほとんどでした。睡眠時間が十分取れるからです。沖縄の子供たちの学力テスト結果の平均値が低い、とはよくいわれていることです。私は、その原因の一つとして睡眠時間の短さを挙げます。試しに、アメリカのように沖縄と本土に時差を設けるとよいでしょう。

文献:Arakawa M, et al. A survey of junior high school students’ sleep habit and lifestyle in Okinawa. Psychiatry and clinical neurosciences 55 (3), 211-212, 2001

image by: slowstep, shutterstock.com

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