プーチンの危険な決断。ロシアが大規模ネット規制に踏み切る理由

 

ロシア政府の説明

ところで、ロシア政府は、ネット規制の必要性について、別の説明をしています。

法案の目的は、米国がサイバー空間でロシアのネットワークを脅かす行動に出た場合に「ロシアのインターネット通信の長期的かつ安定的な機能を確保する防御機構」を設けること。法案は「インターネット通信の経路を確保・制御する」中核施設の創設を提案。また、「脅威に耐えるための技術的施策」の導入をインターネット接続業者(プロバイダー)に求めていくとしている。さらに法案は、ロシアのインターネットが国外から隔離された状態で機能できるかを確かめるため、定期的な「訓練」を行うことを規定している。
(同上)

要するにアメリカがロシアのネットを麻痺させたりサイバー攻撃したりといった事態に備えなければならないと。クリミア併合後、アメリカはロシアを世界の金融界から隔離する政策をとっています。ですから、ロシア政府からすると、「あり得るよね~」ということなのでしょう。

反対派の主張

一方、反対派はどんな主張なのでしょうか?

ロシアでは過去、世界的な交流サイト(SNS)に対する統制や、メッセージアプリ「テレグラム(Telegram)」の利用阻止を試みる措置が取られており、インターネットの自由を訴える活動家らは、今回の法案も検閲強化の試みだと指摘している。
(同上)

検閲強化の試み」。

これもその通りなのでしょう。たとえば、当局が「電話を盗聴する」「メールを読む」「SNSをのぞく」などの行為をする。これ、二つの意味があります。

まず、テロを防止できる。確かにその通りだと思います。テロリスト同士だって、今の時代、メールでやりとりしたり、スマホで話したり、SNSで交流したりしている。それを「こっそり」のぞけば、確かに「テロ計画」を実行前に阻止できるでしょう。一方で、当局は、「テロリスト」ではないただの「反政権的人」の動向も把握できるようになります。二面性があるということですね。

こういう情報を見ると、日本はまだまだ自由ですね。

「俺は、毎日安倍さんの悪口を書いているが、何も起こらない」

そういうのが、大事です。もちろん、「サイバー攻撃対策」「テロ対策」「スパイ対策」はしっかりやるべきですが。

image by: Eugeniya Trastandetskaya / Shutterstock.com

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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