「廃墟マンション騒動」に見る、日本中でアスベストが飛散する日

 

この記事を読んで、私もショックを受けましたが、この建物の近くに住む人は、どんな思いがしたか…。記事を読んだ人から、抗議の声が行政に押し寄せたのは、想像に難くありません。その結果、翌日18日には、市長は、臨時議会を招集してでも工事費を予算化し、市民の安全を守る観点から代執行の手続きを進める。4月に取り壊し命令を行い、約2か月間で所有者9人の合意による自主解体が行われない場合、最短で11月に代執行による解体に着手する方針と発表しました。

しかし、解体費用は5,000万~6,000万かかる可能性があるといいます。アスベストの処理費用も含んでいますから。ということは、5,000万として、戸当たり560万円。果たして、9人の区分所有者から回収できるのでしょうか。

市長が発表した通り手続きが進んだら、私の知る限りですが…マンションに空き家対策特措法に基づく取り壊し命令が出て代執行が行われるという初めてのケースになるのでは…。

今回、行政がいち早く代執行の方針に踏み切ったのはアスベストの問題が大きかったと思われます。建物崩落の危険だけだったら、こうは行かなかったのでは…。行政の財政的負担は、決して軽くありませんから。

管理不全マンションの末路の事例として常に取り上げられる、沖縄浦添市にある2009年9月に共用廊下が補崩壊したマンションも今まだそのままになっているのです。

沖縄でマンションの廊下が崩落、原因は施工不良と劣化

管理不全マンション対策は、マンションが多い東京都を筆頭とした大都市でようやく始まろうとしていますが、危険な廃墟マンションの問題は、マンションの数が少なく、自治体に、マンション管理という意識が薄い、地方都市から始まるのではないか…。そして、鉄骨にアスベストがたっぷり吹き付けられている鉄骨造の高経年小規模マンションが危ない…と改めて思いました。アスベストが原因で、空き室になり、修繕も解体も費用が掛かり過ぎるので、放置される可能性が高くなります。

みなさんの周りにはそんなマンションはありませんか。早い時期からの対応が必要です。

image by: GoogleMaps

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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