日本のために首脳会談を決裂させたトランプが目論む「皮算用」

 

今後の展開

トランプ大統領も金正恩委員長も、再度米朝首脳会談を行い、合意に達するというが、北朝鮮は核濃縮施設をすべて解体する必要があり国内タカ派の反対を抑える必要がある。一方、金正恩委員長も対米交渉を諦めて、中国と韓国に対して実質的な経済制裁緩和を行うよう交渉する可能性もある。

米国は、北朝鮮がミサイル実験や核実験を行わない限り待てるし、テレビ局が首脳会談を中継しなかったように、米国内の関心は大きくないので、トランプ大統領は、北朝鮮への非核化要求を日本との取引カードに使うようである。

韓国は、事前調整を行い、一部非核化と一部制裁解除の筋道をつけていたが、北朝鮮が要求を引き上げたことで、うまくいかなかったと見て、米朝の仲介を今後も行い、北朝鮮への一部制裁解除を模索する。

米国と北朝鮮が合意しない場合でも、韓国は自国経済復活からも開城の工場団地再開を行う必要があり、国連に特例を要求するようだ。

日米通商交渉

トランプ大統領は、合意見送りの見返りとして日本との通商交渉では、日本が折れるべきと述べている。非核化と日米通商交渉のバーター取引になってしまったようだ。そのため、日米首脳電話会議後、すぐにライトハイザー代表は3月から日本との交渉を開始するとした。為替も議論に入ることになり、自動車の輸入台数制限も入れることになったようである。

安倍首相も為替が議論になるので、日銀の黒田総裁を官邸に呼んで、円安にしないための金融緩和縮小の政策策定、または、円・ドルリンク体制移行の実行手順作成を要請した可能性がある。日銀も、長期国債の買い入れを控えるようである。

日米通商交渉が3月から始まることで、日本も身構える必要が出てきたようである。日経平均株価上昇がいつまで続くか、この意味からも疑問である。相当に厳しい要求が来ることを覚悟した方が良い。

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