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働きがいのある米企業ランク発表。ヒルトンが1位になった理由

アメリカの「Great Place to Work Institute」が発表する「働きがいのある会社」ランキングで、100年の老舗企業であるヒルトンが昨年33位から1位にジャンプアップしたそうです。『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』の著者、りばてぃさんは、ヒルトンに加え2位、3位の企業の取り組みについて解説。さらに、従業員がどういうことで「働きがい」を感じるのかが見えてくるこの調査の質問項目も紹介してくれます。

「働きがいのある会社」ランキング

(1)100年の老舗企業がナンバー1

2019年「働きがいのある会社」ランキングが発表された。毎年2月中旬ごろに発表されるこのランキングは、参加企業の従業員やマネージメントチームにどれだけ働きがいがあるかをアンケート調査し、ランキング化したもの。

アメリカで設立された非営利団体のGreat Place to Work Instituteを中心に日本などグローバルに展開している。

もとは1984年にロバート・レベリングらが「働きがい」に関する研究成果を紹介し、働きがいのある職場をつくるという概念が認知されていったのをきっかけに1991年にGreat Place to Work Instituteを設立。1998年に最初のランキングを経済誌フォーチュンに発表。その後、グローバルに働いがいについて啓蒙・指導するなど展開し、2005年に日本での活動がはじまった。

今のX世代(若い世代で40歳前後)が子どもの頃にアメリカでは「働きがい」について考えていたのはとても興味深い。

ご参考:Great Place to Workの歴史

時代の変化とともに従業員が感じる「働きがい」も変化しているため、その変化を捉え、変わり、発展している企業がトップにランクインしているようだ。例えば、昨年の33位から一気に1位に躍り出たヒルトン(Hilton)は、96%が働きがいがある会社であると回答している。

従業員の働きがいを高めるため様々な取り組みを進めているが、顕著な例としてCEOのクリス・ナセッタ(Chris Nassetta)が挙げているのが、ハウスキーパーのユニフォームについてだ。

数年前、新規オープンしたホテルでハウスキーパーのユニフォームを着る機会があった。ところが、生地は重く作業がしづらいものだったのだ。この経験から2018年にスポーツウェアメーカーのアンダー・アーマーと提携し動きやすいスポーティタイプの新しいユニフォームを開発したという。

「人々に奉仕するビジネスであることを忘れていた。そして企業環境はその最前線から切り離されていた」とナセッタは振り返っている。

ユニフォームはほんの一例でナセッタ主導の下、従業員が休憩時間にくつろげる環境作りなども進めてきた結果、100年もの老舗企業が「働きがいのある会社」ランキングで1位になれたのではないかとのこと。

ご参考:Hilton: #1 on 100 Best Companies to Work For in 2019 | Fortune

ちなみに昨年1位だったが今年は2位になってしまったセールスフォース(Salesforce)も従業員の働く環境をよくすることに力を入れており、職場の半分以上がマインドフルネス・ゾーン(瞑想など自分らしさを取り戻せるエリア)になっているとのこと。

ご参考:Salesforce なお、アメリカの2019年働きがいのある会社ランキングのトップ10は以下のとおり。

  1. ヒルトン
  2. セールスフォース
  3. ウェグマンズ・フードマーケット
  4. ワークデイ
  5. キンプトン・ホテルズ&レストラン
  6. シスコ
  7. エドワード・ジョーンズ
  8. アルティメイト・ソフトウェア
  9. テキサス・ヘルス・リソース
  10. ボストン・コンサルティング・グループ

3位にランクインしたウェグマンズは、食品スーパーマーケットでベストスーパーマーケットに選ばれるほど人気のお店だが、従業員を大切にすることでも知られている。

例えば、新規店舗をオープンする際、急に数多くの店を開けないという。なぜなら、新規店舗で働く従業員は、通常は、オープンするエリアである程度の人数を新しく雇うのが一般的だが、ウェグマンズは店のクオリティを維持するため、そのほとんどを既存の従業員(つまり他店舗)を集めてオープンする。

しかしそうなると、従業員は住居を移転しないといけなくなる。移転しても良いという従業員が十分に揃わない限り、新規店舗を開けないのだそうだ。店の人気はあるが急速な店舗展開をしない理由になっているのである。とにかく従業員ファーストな企業で、3位に堂々ランクインしている。

そんなウェグマンズが、大型店舗をニューヨークのブルックリンのネイビーヤードに今秋オープン予定とのことで、それはそれで非常に楽しみである。視察先としてもホールフーズ並みに面白い店なのでオススメだ。

ご参考:Wegmans Hiring for Brooklyn Debut

(2)感謝する・される大切さ

ところで、このランキングは「働きがいがある会社か?」という質問の他に従業員の体験(Employee Experience)についての以下のような質問がある。

・働きがいがある会社か? (Employees say this is a great place to work)
・入社時、歓迎されていると感じたか? (When you join the company, you are made to feel welcome.)
・私はここで働いていることを他の人に話す際、誇りに思えるか? (I’m proud to tell others I work here.)
・あなたの役職に関係なく公平に扱われているか? (I am treated as a full member here regardless of my position.)
・私たちが何かを成し遂げた際、誇りに感じるか? (When I look at what we accomplish, I feel a sense of pride.)
・地域社会への貢献の仕方について気分が良いと感じているか? (I feel good about the ways we contribute to the community.)

下から2つ目の「私たちが何かを成し遂げた際、私は誇りに感じるか?」(When I look at what we accomplish, I feel a sense of pride.)は、従業員がそれぞれ自分の功績を誇りに思うかどうかを質問するものだが、みなさんだったらどう答えるだろうか? 今、放送中のドラマ「家売るオンナ」のサンチーのように、「私が家を売りました!!」と堂々と言うタイプだろうか?それとも、謙遜して自分の功績を主張しないタイプだろうか?

いずれにしても、何かしら主張できる功績がないとはっきりと言えないと思う。でも、日々の忙しい仕事の中では、ついつい蔑ろにしてしまう傾向にあるため、サンチーのように営業成績として数字がはっきりした職種以外は、自分の「功績」を讃える時間を持たないまま時間が過ぎていることのほうが多いのではないかと思う。

でも「働きがいのある会社」ランキングの質問項目に入っているくらい重要なことのようで、知り合いの某企業では、功績を誇りに思ってもらうための取り組みを行なっているという。

その企業は人事コンサルタントを雇ってGreat Place to Work Institute の従業員アンケートを行なっている。比較的従業員の満足度は高かったが、「私たちが何かを成し遂げた際、私は誇りに感じるか?」(When I look at what we accomplish, I feel a sense of pride.)が低いという結果が出たのである。それが5年前のこと。

それから、いろいろ工夫を重ね、すぐに取り組めることとして、ミーティングの前にはそこに参加している従業員の功績をみんなで認識し合い、感謝する時間を設けるようにしたところ、満足度の数字が上がったという。会議以外にも事あるごとに会社に対する献身さに感謝するなど、実際に声をかけることを社員同士で心がけているのだそうだ。

功績を認識してお礼を言う。シンプルだけどとても効果があるのかもしれない。なお、日本の「働きがいのある会社」ランキングは、以下のリンクをご参照。

ご参考:「働きがいのある会社」ランキング

image by: amenic181, shutterstock.com

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ニューヨークの大学卒業後、現地で就職、独立。マーケティング会社ファウンダー。ニューヨーク在住。読んでハッピーになれるポジティブな情報や、その他ブログで書けないとっておきの情報満載のメルマガは読み応え抜群。

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