道造にとっての幸せとは、何か大きな出来事が起こって心が舞い上がるといったものではなかったのです。
人間というものは、生きている限り、幸福になることを願っている生き物です。しかし、それは何も特別なことではなく、道造が感じていた幸福は
山並みのあちらにも しづかな村がある
明るい日曜日の 青い空がある
日傘をさした 田舎の娘らが/着かざつて 唄をうたつてゐる
というような、どこにでも見出せる、ありふれた景色の中にこそありました。
平凡な日常のように思えても、それは決して同じことの繰り返しではありません。私たちの心や魂にエネルギーを与えてくれるキラリと光る出来事は、少し意識さえすれば、人生のあらゆる場面に満ち満ちているのです。
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