中国の最大かつ真の弱み「他力本願」を狙い撃つ、米国の兵糧攻め

 

戦後の日本の学者や文化人は、中国の「台湾は中国の絶対不可分の一部」という主張に同調する者が多いですが、それは台湾の民主主義への弾圧に日本の文化人が加担しているのも同然です。

日本の文化人が中国の主張に同調するのは、「間違いだらけの歴史」を「正しい歴史認識」とする独善的な主張に洗脳されているからです。自国に自虐史観を植え付けるのみならず、台湾の民主主義も、あるいは民族自決を求めるチベットウィグル人の思いも踏みにじっているわけです。

台湾と日本のあいだには、共通する歴史や文明のしくみなどが少なくありません。たとえば日本列島に人類が住み始めたのは2万5000年ほど前と言われますが、台湾でもほぼ2万5000年前までの人類の骨が出土しています。縄文文明も日本と台湾では共有しているのです。かつては台湾琉球九州までが同一文明圏の時代がありました。

豊臣秀吉が天下統一後、高山国(台湾北部の鶏籠国)に進貢を求める書を送ったことは有名ですが、その他にも、江戸幕府はかつてオランダやスペインと「台湾領有」を争ったこともあり、オランダ人が安平に築城する以前には淡水と安平には日本人町がありました。

台湾のみならず、南洋各地には日本人町があり、江戸鎖国以前日本人の海外渡航者は30万人いたと推定されています。

アメリカの軍艦は、下田に現れる前に台湾南部にも上陸しましたが、牡丹社の先住民に撃退されました。遭難して台湾に漂着した宮古島島民が、支那人に間違われて牡丹社の先住民に殺害された牡丹社事件では、日本政府は維新後初の海外出兵を行いましたが、3000人の兵を率いた西郷従道が出征前に、ハリス領事から征討のアドバイスをされたこともありました。

日本と台湾との関係は、日清戦争後の下関条約で日本への「永久割譲が決定されてからでは決してないのです。国共内戦後に成立した中華人民共和国が台湾を「絶対不可分の一部」だと主張するなら、オランダも日本も同様の歴史的根拠があることになります。

そのことについては、アメリカの対台湾プレゼンスはきわめてはっきりしています。朝鮮戦争当時、アメリカのトルーマン大統領は、「台湾は20隻の不沈空母に匹敵する」と語り、戦略的意義のある地として、第7艦隊を送って台湾を防衛しました。

現在でも日本の船舶が1日に300隻も台湾海域を通過します。台湾こそ日本物流の生命線なのです。沖縄米軍基地に対する反対運動は、こうした日本の生命線を脅かすものであり、その罠に嵌らないように祈っている毎日です。

もちろんアメリカの対台湾政策が変わりつつあることは、はっきりしています。アメリカの国内法として「台湾関係法」を制定していますが、トランプ大統領になってからは、国防権限法で対中強硬策が盛り込まれ、台湾旅行法を制定して米台政府高官の往来を可能にするなど、関係強化路線を走っています。

また、蔡英文政権において台湾と断交してきたドミニカ、エルサルバドル、パナマといったラテンアメリカの国々に対しては、アメリカは大使召還を行い、さらにはアメリカ艦船が半世紀ぶりに台湾周辺海域の巡回強化に動きました。アメリカの駐海外機構としてAIT(台湾事務所)は最大級の規模で、しかも99年もの土地租借になっています。

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