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「やる気が出る」と「伸びる」は別。「褒めて育てる」が危険な訳

「自分は褒められて伸びるタイプ」と口にするビジネスマンに会うと、その人間が所属する企業の教育内容を疑ってしまう、というのは人気コンサルタントの中久保浩平さん。中久保さんは自身の無料メルマガ『ビジネス真実践』でその理由を記すとともに、ごく当たり前でシンプルですが理にかなった人材育成法を紹介しています。

褒められて伸びるタイプなんです、という人

私は褒められて伸びるタイプですから」という若いビジネスマンと出くわしたとき、「この人の会社ではちゃんと人材教育ができていないのかな」と思わず疑ってしまいます。

確かにどんな些細なことでも褒められると誰でも嬉しいしテンションが上がります。そして、そのことが活力となり、また頑張ろう!ってなるでしょう。ですが、褒められるだけで伸びるなんてことはありません。一時のテンションやモチベーションが上がり“やる気がでるのと伸びるのとは違います。極々当たり前のことです。

ですが、褒める教育をしないとついてこないのかどうなのか「褒めて人材を育てる」とか「部下を育てる褒め方」とかそういう類の書籍や情報がたくさんありますが、その表面的なところを拝借し本来の人材教育ができていないというところが結構あります。

褒めるばかりの教育をしたとしたらどうなるか?極端かも知れませんが、周りがいつも気を使うといった腫れものの人間が出来上がりメッキにくるまれた軟弱体質の人材ばかりになります。

たとえば、褒められる教育しか受けていない人が、突然のお客様や取引先からクレームやお叱りを受けたとき、「お客様、そういわれましても私は褒められて伸びるタイプなので…」と言ったとします。ですが、こんなこと普通なら口が裂けても言えるはずもありませんよね。というか実際、そんな人はいないでしょうけど。

何が云いたいのかというと、褒められて伸びるタイプですと自分でいう人に限ってお客様からのお叱りやクレームに対してきちんと対応が出来ない人が多いようです。いってみれば、クレームへの対応ではなくクレームの処理になってしまう。お客様からの貴重な厳しい意見を「処理」と済ます。もうその時点で、お客様と向き合えていないのですからビジネスマン失格です。

褒められてばかりで、叱られることが無ければ、臭いものには蓋をするといった具合に都合の悪い事は適当に済ましてしまいます。たとえ自分に非があったとしても正当化しようとします。

都合が悪くても、怒られるようなことがあっても、真正面から向かい合える人でなければ決して成長はありませんし、お客様や社内からの信頼など得られるはずもないのです。

「私は褒められて伸びるタイプです」という人は、結局、都合が悪い事、「あっヤバイなということに対して理屈をこねたり言い訳を探したりして逃げだす人です。決して伸びません。

ですので、叱るときは叱る、注意すべきところは注意する、それがあって、褒めるときは褒める、です。別に「アメとムチ」という使い分けのテクニックとかでもなんでもなく、その時々の状況に応じた指導が良いということです。当たり前のことが大切なのです。

部下や後輩を指導する人は、叱るときは叱り注意すべきことはきちんと注意しましょう。そうしないと「処理」ではなく「対応」できる人が育ちませんし、自社や自分の非に対しても改善できる力を養える人が育ちません。

部下の人は、上司や先輩、あるいはお客様から叱られた時は、真摯に受け止めきちんと向き合いましょう。そして、心の中で言いましょう。「また1つ成長させてくれる機会を下さりありがとうございます」と。

当たり前でシンプルなことが一番に理にかなってます。

■今日のまとめ

「『褒められて伸びるタイプです』というだけでは伸びない」

・社内で「叱るときは叱る、褒めるときは褒める」メリハリのある環境ができているか?チェックしてみる
・お客様からのクレームやお叱りを受けとき、対応でなく処理になっていないか?チェックしてみる
・チェックしたことにより改善するところがあるとすればどのように改善すればいいか?考えノートに書き出す
・周りに「褒められて伸びるタイプです」という人がいればそれは錯覚であることを教えてあげる

image by: Shutterstock.com

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【著者】 中久保 浩平 【発行周期】 毎週:火・木午前8:00発行※祝日の場合は翌日

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