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対象者は900万人。年金に上乗せで給付金が支給されるらしい

今年10月に引き上げ予定の消費税を財源として導入される「年金生活者支援給付金」。年金受給者のうち低所得者向けの給付金なのですが、あまり知られていません。そんな給付金について、今回の無料メルマガ『年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座』で著者のhirokiさんが、どんな状況の人がいくら貰えるのかを詳しく解説しています。

対象者は約900万人。消費税10%引上げで年金に上乗せ給付金支給(年金生活者支援給付金)

消費税10%への引き上げは過去2回延期されてきました。平成31年10月はどうやら無事引き上がりそうと思ってた矢先に、自民党の人が最近また延期の可能性もあるという発言に困惑しました^^;

安倍総理は増税に踏み切る決意がありそうです。僕は消費税引き上げについては、引き上げなければ財政に悪影響なら引き上げるべきだと思っています。何事もその時にやるべき事を先延ばしにしてイイ事なんて無かったんだから。厚生年金の60歳から65歳までの支給開始年齢引き上げにしても20年くらい先延ばし先延ばしで、結局後世代のツケになった。

そういうと先に無駄の削減をしろ!っていう人がいますが、増税なき財政再建というのは昭和50年から始まって、無駄の削減云々というのはもう40年以上続けられてるんですよ(なんかもうその辺はダラけてる感じはありますが…)。もちろん無駄が無い事は無いでしょうけど、引き上げるべきところは上げ、削減する所は削減して現実を見るべきだと思っています。

では本題です。今年10月から消費税が8%から10%に引き上がります。消費税は1%上がると約2兆7,000億円の税収となる。その消費税増税を財源として年金受給者で低所得者向けの給付金の支給が始まります

その財源の一部を元に年金に上乗せして支給される給付金を年金生活者支援給付金という(保険料納めた期間や免除期間で金額は変わりますが、20歳から60歳までの480ヶ月の保険料納付済期間あるなら月額5,000円)。

年金生活者支援給付金(厚生労働省)

対象者は65歳以上の老齢基礎年金受給者で世帯全員の所得が住民税非課税世帯前年の公的年金収入と所得の合計が779,300円に満たない事の3つのすべての要件を満たす事。年金生活者支援給付金の対象者は約600万人。

なお、779,300円以上になる人も公的年金収入と所得の合計が879,300円の間にある人は「補足的年金生活者支援給付金」が支払われる。所得金額によって変わってくる(この計算については記事最後の追記に少し記載)。約160万人。

障害基礎年金遺族基礎年金受給者にも障害年金生活者支援給付金遺族年金生活者支援給付金としてこちらは月額5,000円が支給される(障害基礎年金1級受給者には1.25倍の月額6,250円)。こちらの障害基礎と遺族基礎の支援給付金は前年所得が4,621,000円+扶養親族等の数×38万円以下である事。この所得基準は20歳前障害基礎年金の所得に合わせてるようですね。該当者は約200万人。

全体で約900万人規模。

今月1日から事前受付として、平成31年4月1日以降から65歳になる人は年金請求書に支援給付金の請求書が同封されている。既に障害基礎年金受給者、遺族基礎受給者、65歳以上の老齢基礎年金受給者の人は9月ごろに請求書が送られる事になっています。ここ数年あった年金生活者支援臨時福祉給付金のように最高3万円の一時的な給付金ではなく、毎回偶数月の年金振込日に前2ヶ月分が支払われる。

ちょっといくらくらいの給付金になるかはわかりづらいと思うので事例。

※平成31年4月時点の情報のため、今後の情報の動きで変わるかもしれませんのでご了承下さい。

1.昭和27年8月28日生まれの男性(今は66歳)

(令和元年度版)何年生まれ→何歳かを瞬時に判断する方法!
年金加入月数のカンタンな数え方例(hirokiまぐまぐニュース参考記事)

20歳になる昭和47年8月から昭和50年3月までの32ヶ月は昼間大学生として国民年金には強制加入ではなかったが、任意加入だった。任意加入しなかったために、年金受給資格期間最低10年(平成29年7月31日までは25年)の期間に組み込むためのカラ期間になるだけ。

昭和50年4月から昭和55年9月までの66ヶ月は厚生年金に加入する(保険料納付済み)。なお、この期間の平均給与(平均標準報酬月額)は26万円とします。

昭和55年10月から平成14年5月までの260ヶ月間は国民年金保険料はちゃんと納めた(保険料納付済み)。平成14年6月から平成18年5月までの48ヶ月は未納。平成18年6月から60歳前月の平成24年7月までの74ヶ月は国民年金全額免除。

なお、平成21年3月までの34か月間の免除は基礎年金の3分の1に反映し、平成21年4月以降の40ヶ月の免除は基礎年金の2分の1に反映する。

さて、いくらの年金と年金生活者支援給付金が支給されるのか。

よって現在の年金合計は

他に所得は無いものとします。

よって、公的年金等収入+所得≦779,300円であり、老齢基礎年金受給者、世帯全員が住民税非課税の条件を満たすものとする。

(ア)年金生活者支援給付金→給付基準額5,000円÷480ヶ月×保険料納付済み期間326ヶ月=3,395円

(イ)年金生活者支援給付金(免除期間の計算)→給付基準額10,834円÷480ヶ月×774ヶ月=1,670円

補足

10,834円は、779,300円÷12ヶ月=64,941円の6分の1の額を指す。なお、4分の1免除は12分の1の額にされている(10,834円ではなく5,417円)。

つまり、老齢厚生年金122,265円+老齢基礎年金580,741円+年金生活者支援給付金60,780円=763,786円月額63,648円)となる。

給付金は平成31(令和元)年10月からですが、初回振り込みは12月13日(15日が日曜だから)。年金とは別に振り込む。それ以降も恒久的に偶数月に前2ヵ月分が支払われる。

なお、日本に住所が無い年金が全額停止されている刑事施設などに拘禁されている場合は支給されない。

障害基礎年金受給者や遺族基礎年金受給者は老齢の年金のような計算は無く、月額5,000円(障害等級1級の人は6,250円)。

所得制限はありますが、記事冒頭で書いたようにこちらの障害基礎と遺族基礎の支援給付金は前年所得が4,621,000円+扶養親族等の数×38万円以下である事。こちらの場合は結構、前年所得条件が高いので老齢の場合より緩い条件。

ところで、この年金生活者支援給付金(老齢の場合)は金額を算出する際は「保険料納付済み期間」と「免除期間」を用いるので、未納期間が多かったりするとその分給付金も少なくなるので未納期間は避けなければ損をする。せめて保険料免除申請をしておきましょう。

ちなみに20歳前や60歳後の厚生年金加入による保険料納付済み期間は基礎年金の計算には含まないので、給付金の計算には含まない

というわけで今回は基本的な給付金支給事例でしたが、5月1日発行の有料メルマガでは総合的な年金計算と年金生活者支援給付金を合わせて突っ込んだ事例を紹介します。

追記

公的年金収入+所得が779,300円を超え879,300円以下の人は補足的に給付金が支払われる。計算としては、給付基準額5,000円÷480ヶ月×保険料納付済み期間×調整支給率となっています。

例えば公的年金収入が60万円で所得が20万円だったら合計80万円ですよね。保険料納付済み期間が360ヶ月とします。

つまり、給付金額は5,000円÷480ヶ月×360ヶ月×調整支給率0.793=2,973円月額)となる。

image by: Shutterstock.com

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佐賀県出身。1979年生まれ。佐賀大学経済学部卒業。民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。
その翌年に民間企業を退職してから年金相談の現場にて年金相談員を経て統括者を務め、相談員の指導教育に携わってきました。
年金は国民全員に直結するテーマにもかかわらず、とても難解でわかりにくい制度のためその内容や仕組みを一般の方々が学ぶ機会や知る機会がなかなかありません。
私のメルマガの場合、よく事例や数字を多用します。
なぜなら年金の用語は非常に難しく、用語や条文を並べ立ててもイメージが掴みづらいからです。
このメルマガを読んでいれば年金制度の全体の流れが掴めると同時に、事例による年金計算や考え方、年金の歴史や背景なども盛り込みますので気軽に楽しみながら読んでいただけたらと思います。

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【著者】 年金アドバイザーhiroki 【発行周期】 不定期配信

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